池真理子

池真理子（いけ まりこ、1917年1月2日 - 2000年5月30日）は、昭和を代表するジャズ、ラテン、フォルクローレ歌手として知られています。京都府で生まれた彼女は、宝塚音楽学校を卒業後、宝塚歌劇団に在籍。芸名「三日月美夜子」として活動しましたが、ジャズの魅力に惹かれ退団しました。

その後、東山のダンスホールで歌うコンダクターとして人気を博し、1941年にビクターからレコードデビュー。戦後はコロムビアに移籍し、「愛のスウヰング」が大ヒット。「スウィングの女王」として一躍スターダムにのし上がりました。

「センチメンタル・ジャーニー」、「愛の散歩」、「ボタンとリボン」など、数々の洋楽カバーや洋楽調の楽曲をヒットさせ、特に「ボタンとリボン」は、歌詞の「バッテンボー」というフレーズが流行語になるほどでした。

私生活では作詞家の鈴木アラン勝と結婚、娘をもうけましたが、後に離婚。1960年には渡米し、ラテン音楽に傾倒。帰国後、日本ラテン音楽協会を設立し、ラテン音楽の普及に尽力しました。

1970年代に入ると、フォルクローレにも興味を持ち、ペルーでの単独コンサートを開催。和製フォルクローレ曲「インカ王女の子守唄」も披露しました。さらに、1980年代にはロシア音楽にも挑戦するなど、ジャンルにとらわれず、常に新しい音楽を追求する姿勢を持ち続けました。

晩年は、二葉あき子らと「コロムビア五人会」を結成し、老人ホーム慰問やハワイ公演、演劇など幅広く活動。1995年には、デビュー50周年を記念して新曲を発売し、その健在ぶりを示しました。2000年、パーティーでのセッション中に倒れ、クモ膜下出血で83年の生涯を閉じました。

彼女は、「良い歌を歌いたい」という信念を持ち、国内外を問わず、様々なジャンルの音楽に触れ、自身の音楽に取り入れていました。

また、池真理子は、数々のエピソードにも彩られています。

例えば、「愛の散歩」の仮題は「まり子ブギ」であり、もし発売が早ければ、笠置シヅ子ではなく「ブギの女王」と呼ばれていた可能性もあったとされています。

また、「東京ブギウギ」の作詞には、池真理子も大きく関わったとされ、夫の鈴木勝が書けない部分を作詞したと伝えられています。

「長崎の鐘」のレコーディングでは、当初、池が歌う予定でしたが、永井隆博士の心情を歌ったものであるとして、藤山一郎が歌うことを強く希望し、自らはB面の「いとし吾が子」を歌うことになったという逸話も残っています。

池真理子の代表曲は「愛のスウヰング」を筆頭に、「愛の散歩」、「ボタンとリボン」、「センチメンタル・ジャーニー」などがあります。また、「チョグイ鳥」や「百万本のバラ」といった、海外の民謡や歌曲もレパートリーとしていました。

彼女の歌は、時代を超えて多くの人々に愛され続け、その音楽的功績は、日本の音楽史に深く刻まれています。NHK紅白歌合戦にも出場し、その歌声を全国に届けました。テレビ番組「一枚の写真」にも出演し、その人となりが紹介されました。

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