沖ノ原遺跡

沖ノ原遺跡：縄文時代の環状集落跡

沖ノ原遺跡は、新潟県中魚沼郡津南町に位置する、縄文時代中期後葉の環状集落の遺跡です。国の史跡として指定されており、縄文時代の文化を研究する上で重要な場所となっています。

遺跡の概要

遺跡は、信濃川の支流である中津川の河岸段丘上に位置し、川床からの比高は約160メートルです。苗場山麓地域国営総合農地開発事業の過程で発見され、1972年から1973年にかけて発掘調査が行われました。その結果、中央に広場を持つ直径約120メートルの環状集落であることが明らかになりました。

遺跡の西南方向には水源となる自然湧水地点があり、竪穴建物49棟、長方形大型建物3棟、敷石建物1棟などの遺構が検出されました。建物の分布状況から、実際には200棟以上の建物が存在していたと推定されています。特に大型建物は、居住用としてよりも、社会的な目的で使用されたと考えられています。建物の主要な材料としてはクリ材が用いられています。

その学術的な価値から、津南町は遺跡全体を開発地区から除外し、保存に努めました。1978年には、国の史跡に指定されています。

出土品

沖ノ原遺跡からは、火焔土器のほか、沖ノ原式土器と呼ばれる独特の深鉢型土器が出土しています。沖ノ原式土器は、底面が小さく口に向かって広がるバケツのような形状で、器全体が一方向に傾いていることが多いのが特徴です。装飾は比較的控えめで、文様は口縁部と胴部の上半に集中しています。

土器以外にも、打製石器や石鏃、縄文クッキーと呼ばれるクッキー状炭化物などが出土しています。植物遺体としては、クルミやクリなどが多く発見されており、特にクリの多さは、縄文時代の農耕（クリ栽培）を考える上で貴重な資料となっています。

文化財としての価値

これらの出土品は、1995年に新潟県の有形文化財に指定されました。現在は、津南町歴史民俗資料館で保管・展示されており、一般の人々も見学することができます。

沖ノ原遺跡は、縄文時代の集落の構造や生活様式、文化を知る上で非常に重要な遺跡です。出土品や遺構を通して、当時の人々の暮らしを垣間見ることができます。この遺跡は、日本の歴史と文化を学ぶ上で欠かせない場所と言えるでしょう。

関連情報

沖ノ原遺跡 - 文化遺産オンライン（文化庁）
沖ノ原遺跡 - 日本遺産 火焔型土器
* 沖ノ原遺跡 - 苗場山麓ジオパーク

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