縄文クッキー

縄文クッキーとは

縄文クッキーとは、縄文時代の食事を再現したメニューとして作られる、植物性のクッキー（またはパン）や、動植物性のハンバーグ状の加工食品のことです。木の実のデンプン質がクッキー状の炭化物として出土することから、そのように呼ばれています。

アク抜きしたドングリなどの木の実を主な材料とし、獣肉や卵などを混ぜて焼き上げたものが一般的ですが、動物性の材料を含むものはあくまで推測に基づいています。実際に出土する「縄文クッキー」は、栗の実を粉にして固めて焼き上げただけのものが多いです。

発見と概要

縄文クッキーは、縄文時代の初期から作られていたと考えられています。長野県の曽利遺跡で初めて発見され、その後、東日本の縄文時代の遺跡で多く出土しています。縄文時代には、食糧の保存・加工技術が進歩し、木の実のアク抜き技術が確立されたため、アク抜きされた木の実や球根類のデンプン質を石皿や磨石で粉にして食べることが可能になりました。

クッキー状の炭化物は、主に住居内の炉の灰の中から発見されるため、余熱で焼かれたものと考えられています。土器で粥状に煮て食べる方法と並び、主要な粉食方法だったと考えられています。

動物質材料の有無について

山形県東置賜郡高畠町の押出遺跡から出土したクッキー状炭化物の分析から、クリやクルミなどの木の実、シカやイノシシなどの獣肉、動物の血、卵などに塩と天然酵母を加えて焼いたものが「縄文クッキー」であるとする説がありました。この説では、縄文クッキーには植物性のものと動物性のものの2種類が存在する可能性が示唆されました。

しかし、残存脂肪酸分析法は、旧石器捏造事件をきっかけに信頼性が疑問視され、分析結果から材料を特定する根拠も薄いと指摘されています。そのため、動物性の材料を含む縄文クッキーの存在は、あくまで想定の域を出ません。

縄文農耕論との関連

「食」という身近なテーマは一般の人々への訴求力が高く、クッキー状炭化物から栽培植物であるエゴマやシソが検出されたことから、縄文農耕論の観点からも注目されました。しかし、十分な検討が加えられる前に、推定された材料とレシピが広まり、博物館や埋蔵文化財センターの体験学習やイベントなどで再現されるようになりました。

縄文時代に植物性の粉食が行われていたことは想定されていますが、レシピや形状については、あくまで推測の域を出ないものであることに注意が必要です。

縄文クッキーの作り方（参考）

学術的には素材から実態まで不明な点が多いことをご理解ください。

ハンバーグ系

1. ドングリを挽いたものに、挽肉と鶏卵、クリ・クルミなどを砕いたものを混ぜ合わせます。
2. 塩、青葉、ゴマなどで味を調えます。
3. 一口大に成形し、焼きます。

クッキー系

1. ドングリを挽いたものに、鶏卵、クリ・クルミなどを砕いたものを混ぜ合わせます。
2. 砂糖、蜂蜜、塩、青葉、ゴマなどで味を調えます。
3. 一口大に成形し、焼きます。

ドングリの種類によっては、破砕後に水にさらすなど、アク抜きが必要になります。山芋やレンコン、そば粉などを加えても良いでしょう。


外部リンク

縄文時代の加工食品炭化物　クッキー状炭化物出土遺跡の一覧
小・中学校で人気の縄文クッキー作り科学的根拠に強い疑問「誤り」の流布今後に活かせ - ウェイバックマシン - 2003年3月7日朝日新聞夕刊掲載の岡安光彦による批判記事
* 縄文クッキーの作り方

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