打製石器

打製石器とは

打製石器とは、石を打ち砕くことで作られた石器であり、磨きの工程を伴わないものを指します。人類が道具を使用し始めた当初から存在し、その歴史は非常に古いものです。石を打ち欠くことで鋭利な刃を作り出し、狩猟や採集、生活用具の作成など、様々な用途に用いられてきました。

歴史

人類が初めて道具を使用したのは、約200万年前と言われています。当初は自然のままの石を使用していましたが、石を打ち砕くことで鋭利な部分が現れることを発見し、刃物として利用するようになりました。これが打製石器の始まりです。

最初の打製石器は、礫器（チョッパー）と呼ばれるもので、形は非対称で不定形でした。しかし、約140万年前には、石の周囲全体を加工して対称形に整えた石器が登場します。その後、打製石器は時代とともに進化し、石を砕いただけの礫器から、薄い剥片を用いた剥片石器、石の中央部を利用した石核石器へと変化していきました。

日本では、主に旧[[石器時代]]から縄文時代にかけて打製石器が使用されていました。弥生時代に入り、金属器が普及するにつれて、打製石器の使用は次第に減少しました。打製石器は、磨いて作られる磨製石器に対する言葉として用いられます。主な材料としては、黒曜石、讃岐岩、頁岩などが挙げられます。

打製石器の製作技術

打製石器の製作技術には、主に以下の3つがあります。

直接打法：石のハンマー（打撃具）を石材に直接打ち付けて、不要な部分を剥離させる方法です。原石の形を整えたり、大まかに刃をつけたりする際に用いられます。
間接打法：打撃具を直接打ち付けるのではなく、石材の一端に鹿の角や獣骨のタガネを当て、槌で間接的に打撃を加えて石片を剥ぎ取る方法です。この石片（剥片）から石刃を作ります。
押圧剥離：石材の縁に、先端が尖った鹿の角や骨、木などの柔らかい打撃具を当て、力を加えて微細な石片を剥離させる方法です。尖頭器や細石刃など、細かい加工が必要な際に用いられます。

打製石器の種類

旧[[石器時代]]には、以下のような様々な種類の打製石器が使用されていました。

ハンドアックス：切ったり、掘ったりと万能に使用された石器で、握斧（あくふ）や握槌（にぎりづち）がこれにあたります。
ブレイド（石刃）：切る、削るなどの用途に用いられた鋭利な石器です。
ポイント（尖頭器）：弓矢や槍の先端に取り付け、主に狩猟に使用された石器です。

その他、スクレイパー、ナイフ形石器、彫器などが用いられていました。

縄文時代になると、石匙、石鏃、石錐、石斧、石槍など、用途に応じた多様な打製石器が作られるようになります。これらの多くは剥片石器です。一方、石核とは、打製石器を制作した際に残った石材のことであり、原石の中心部分から作り出された石器を石核石器と呼びます。

まとめ

打製石器は、人類の歴史の中で非常に重要な役割を果たしてきました。石を打ち砕くというシンプルな方法で作り出されたこれらの道具は、私たちの祖先の生活を支え、文明の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

参考文献

石器技術研究会（編）『石器づくりの実験考古学』学生社、2004年5月25日。ISBN 978-4311300585。
加藤晋平・鶴丸俊明『図録 石器入門事典 先土器』柏書房、1994年5月。ISBN 978-4760106080。

関連項目

石器
利器
磨製石器
細石器
* 旧[[石器時代]]

外部リンク

インターネット相沢忠洋記念館 - ウェイバックマシン（2000年9月19日アーカイブ分）

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