沖縄三越

沖縄三越：沖縄の歴史を彩った百貨店の軌跡

沖縄三越は、かつて沖縄県那覇市に存在した百貨店です。1957年に大越百貨店として開業し、その後三越と提携して沖縄三越となりました。沖縄県民に長年愛されましたが、2014年に惜しまれつつ閉店しました。ここでは、その歴史、概要、店舗情報、そして閉店後の動きについて詳しく解説します。

創業から沖縄を代表する百貨店へ

沖縄三越の歴史は、1957年6月4日に大城組の創業者である大城鎌吉によって株式会社大越が設立されたことから始まります。同年8月には大越百貨店が開業し、その歴史がスタートしました。

創業の背景には、大城鎌吉の6男である大城康秀と友人たちの発案がありました。百貨店経営のノウハウ不足を補うため、沖縄出身で三越の重役であった瀬長良直に協力を依頼。当初から三越との緩やかな提携関係が築かれていました。

1970年4月4日、三越との資本・業務提携に合意し、同年8月26日に三越が外資導入免許を取得。10月10日には三越が25%出資し、沖縄三越へと名称変更。正式に三越と資本・業務提携を結びました。沖縄山形屋やリウボウインダストリーと共に、沖縄の小売業を代表する企業へと成長し、那覇市の中心市街地を代表する百貨店として親しまれました。

また、大城組などと共に「大扇会」を構成し、沖縄の有力な地場資本グループの一角を担っていました。そのため、那覇空港ターミナル内への出店や、ホテル日航グランドキャッスルへの出店など、「大扇会」のグループ企業との連携も積極的に行いました。

1991年4月29日には新館を増築し、1993年2月期には売上高約119億円を記録しました。

会社分割による再建

しかし、事業拡大に伴う過大な投資により、約80億円もの負債を抱え経営が行き詰まります。沖縄県内の経済界が支援に乗り出し、「新沖縄三越経営10カ年計画」を策定し、事業再生を目指すことになりました。

沖縄銀行を中心とする沖縄県内地銀3行と沖縄公庫・農林中央金庫などの金融機関から約45億円の債権放棄を受け、負債整理を行う旧会社から百貨店事業を分離し、新会社「沖縄三越」へ事業継承を行う会社分割を行いました。

2004年3月1日、百貨店事業を継承した新会社「沖縄三越」は、沖縄電力など沖縄県内41社から総額7億円の出資を得て資本増強を図りました。また、三越も約14%を出資して筆頭株主となり、社長を派遣するなど経営再建の中核を担いました。

会社分割後、業績は一時的に改善し、2006年2月期には売上高約86億5400万円、営業利益は約8500万円を記録しました。さらに、2007年9月1日には初の郊外型食品店舗「豊崎マイキッチン」をオープン。この新店舗は収益の柱となり、2008年2月期には会社分割以降最高の売上高約91億円を上げました。

再度の業績悪化から百貨店の閉店へ

しかし、2008年のリーマン・ショック以降、世界的な経済危機の影響や、市場環境の変化に対応できず、業績は再び悪化。郊外型の大型店との競争激化も重なり、売上が減少していきました。三越主導の経営再建策も、地元顧客に合わせた販売戦略を取りにくいという側面もあり、業績悪化に拍車をかけました。

2014年2月期には売上高約76億6765万円となり、2008年2月期から約16%も売上が落ち込みました。損益がマイナスに転じたことから、2004年の会社分割後に行われていた利子などの返済も滞り、返済猶予を受けることになりました。さらに、三越の商号使用許諾契約が2014年9月末で期限を迎え、老朽化した本店建物の設備更新費用の調達も難航したため、2014年9月21日に閉店することになりました。

百貨店事業の存続断念に伴い、約16.15億円の特別損失を計上し、2014年2月期末には約11億6587万円の債務超過となりました。2014年9月21日午後7時40分過ぎ、沖縄三越はその長い歴史に幕を閉じました。

リウボウへの事業譲渡へ

2014年5月30日の株主総会で、百貨店事業の終了と、空港売店やJALコーチショップ、豊崎マイキッチンの3事業をリウボウインダストリーが継承することが承認されました。同年9月22日以降も上記の3事業は継続されました。リウボウへの事業継承交渉は金融機関が主導して行われ、(2代目)沖縄三越の法人は存続し、同年10月から「リウボウ商事」に社名を変更し、新たな体制で営業を開始しました。

百貨店跡地は「HAPINAHA（ハピナハ）」として2015年3月12日に再オープンしましたが、その後閉館。2020年2月1日には「国際通りのれん街」として食の集合体が再オープンし、新たなランドマークとなっています。

年表

1957年6月4日：株式会社大越設立
1957年8月：大越百貨店開店
1970年4月4日：三越と資本・業務提携合意
1970年10月10日：沖縄三越に名称変更
2004年3月1日：会社分割により新会社「沖縄三越」が事業継承
2014年9月21日：沖縄三越閉店
2014年10月：(2代目)沖縄三越が「リウボウ商事」に社名変更

店舗

本店
那覇市国際通りにあった百貨店。
豊崎マイキッチン
住所：〒901-0225 沖縄県豊見城市豊崎1番441号
豊崎ライフスタイルセンターTOMITON内にある郊外型食品スーパー。
空港売店
住所：〒901-0142 沖縄県那覇市鏡水150番地
那覇空港内に出店。
JALコーチショップ
住所：沖縄県那覇市
ホテルJALシティ那覇内に出店。

過去に存在した店舗

ホテル日航那覇グランドキャッスル店（1973年8月開店 - 2008年閉店）
プラザハウス店（1997年4月23日開店 - 2012年閉店）

その他

「大越百貨店」の名称は、創業者の大城鎌吉が東京日本橋の三越本店での接客に感銘を受けたことに由来します。大手百貨店からの提携話が多数あった中で、三越と提携を結んだのはこのような背景がありました。

外部リンク

沖縄三越ホームページ - ウェイバックマシン
沖縄三越、57年の歴史に幕 - YouTube
* さようなら、沖縄三越 57年の歴史に幕を下ろす - YouTube

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