沖縄丸

沖縄丸の概要

沖縄丸（おきなわまる）は、日本の逓信省に所属した海底ケーブル敷設船で、日本が保有した最初の本格的な海底ケーブル敷設船です。1896年にイギリスで竣工し、台湾への海底電信線敷設を主目的としていました。その後、40年以上にわたり日本の海底ケーブル敷設作業を担い、特に日露戦争では軍用通信網の整備に貢献しました。最終的には、1938年に民間に払い下げられ、太平洋戦争中に沈没する運命を辿りました。

建造の背景

明治維新以降、日本は電信通信網の整備を進めました。しかし、対外電信線の敷設はデンマークの大北電信会社が免許を持っていたため、国内電信線のみが逓信省の手によって整備されることとなりました。海に囲まれた日本では、国内電信線でも海底ケーブルが必要で、1873年に敷設された赤間関横断線が最初の海底ケーブルとなります。お雇い外国人が指揮する小型蒸気船を用いて海底ケーブルの敷設に取り組みました。

日清戦争後、日本が台湾を獲得すると、台湾への海底ケーブル敷設が急務となったため、1895年に沖縄丸の建造が決定され、イギリスの企業に発注されました。1896年に進水し、同年に竣工しました。

船歴と台湾線の敷設

沖縄丸は1896年6月に長崎港へ到着し、陸軍省が指揮する台湾軍用電信線の敷設に当たりました。全長1045海里（1935km）の海底ケーブルを無事に設置し、その後も民需用の電信線敷設に従事しました。1897年に逓信省へ移管され、以降の重要なミッションに従事しました。

日露戦争での活躍

1904年に勃発した日露戦争の際、沖縄丸は海軍の指揮下に入ります。日本海軍は彼女を唯一の正規海底ケーブル敷設船として用い、特に木浦と佐世保間の軍用電信線の秘密裏の敷設に取り組みました。戦時中はさまざまな電信線を敷設し、日本軍の勝利に寄与し、沖縄丸にはその功績を称えるために艦首と同じ菊花紋章が装飾されたこともあります。

終戦後と解体

沖縄丸はその後も様々な通信線の敷設に従事し続けましたが、老朽化が進み、1938年には廃船となりました。その後、大阪の造船所で貨物船に改装されました。しかし、太平洋戦争中、沖縄丸は1944年にアメリカ海軍の攻撃を受け、沈没しました。

まとめ

沖縄丸は、日本の海底通信の歴史において重要な役割を果たしました。長い航海の記録と、国の通信網の発展に貢献したことは後世に語り継がれていくことでしょう。

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