沖縄戦跡国定公園とは？意味をやさしく解説

沖縄戦跡国定公園

沖縄戦跡国定公園は、沖縄本島南部の糸満市と八重瀬町にまたがる国定公園です。この地域は、第二次世界大戦末期の沖縄戦において、最大の激戦地となり、多くの犠牲者を出した場所です。公園内には、戦没者を慰霊する様々な施設や慰霊碑があり、その数は100以上にも及びます。また、美しい自然も残されており、歴史と自然が共存する場所となっています。

公園の概要

公園の面積は、陸域が約3,127ヘクタール、海域が約1,932ヘクタールで、合計5,059ヘクタールにもなります。この地域は、1965年に琉球政府立公園に指定され、1972年の沖縄返還に伴い国定公園となりました。

沖縄戦の末期、日本軍の司令部は首里からこの地域へ撤退しました。しかし、アメリカ軍の攻撃が激化し、住民と軍人が入り乱れる大混乱の中で、多くの人々が命を落としました。1945年 6月23日には、日本軍の司令官が自決し、組織的な抵抗は終わりましたが、その後も掃討戦は続けられました。

公園内の主な施設

沖縄平和祈念公園

公園の東部には、沖縄平和祈念公園があります。ここは、摩文仁の丘とも呼ばれ、沖縄戦没者のための慰霊施設が集まっています。国立沖縄戦没者墓苑、平和の礎、黎明之塔などの施設があり、各都道府県の慰霊碑も設置されています。

沖縄県 平和祈念資料館

沖縄県平和祈念資料館は、沖縄戦の歴史を伝えるための施設です。軍関係の文書や、ひめゆり学徒の手記などが展示されており、沖縄戦の実態を学ぶことができます。館内は、「沖縄戦への道」「戦場の住民」「証言の部屋」「収容所から」の4つのエリアに分かれています。

沖縄平和祈念堂

沖縄平和祈念堂は、平和への祈りを込めて建てられた高さ45メートルの堂塔です。内部には沖縄平和祈念像が安置されています。平和の鐘や美術館も併設されています。

国立沖縄戦没者墓苑

国立沖縄戦没者墓苑には、18万余柱の遺骨が安置されています。赤瓦の参拝所と、琉球墳墓風の納骨堂が特徴です。周囲には、各都道府県や団体の慰霊碑が多数建立されています。

平和の礎

平和の礎は、国籍や軍人・民間人の区別なく、沖縄戦などで亡くなったすべての人々の名前を刻んだ祈念碑です。1995年に建立され、現在も追加の刻銘を受け付けています。2014年6月時点で24万人以上の名前が刻まれています。

黎明之塔

黎明之塔は、牛島満中将と長勇中将を祀る慰霊塔です。司令官が自決した司令部壕跡の上に建てられています。

島守之塔

島守之塔は、沖縄戦で殉職した島田叡知事と県職員を祀る慰霊塔です。

糸満市米須霊域

糸満市米須霊域には、各都道府県の慰霊碑や、将兵が自決した壕があります。中心にある「魂魄の塔」は、沖縄戦に関する慰霊塔の中でも最古のものとされています。

ひめゆりの塔

ひめゆりの塔は、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の職員・生徒を祀る慰霊塔です。ひめゆり学徒隊は、沖縄戦で看護要員として動員され、多くの犠牲者を出しました。

アクセス

路線バスでのアクセスは、82番（玉泉洞糸満線）の平和祈念堂入口バス停が最寄です。

慰霊と平和への祈り

沖縄戦跡国定公園は、戦争の悲惨さを後世に伝え、平和の尊さを学ぶための重要な場所です。多くの人々が訪れ、戦没者を追悼し、平和を祈っています。

ギャラリー

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脚注

[沖縄県環境部環境政策課編『環境白書平成28年度報告』沖縄県環境部環境政策課、2018年。]
[福間良明『「戦跡」の戦後史: せめぎあう遺構とモニュメント』岩波書店〈岩波現代全書〉、2015年。ISBN 9784000291729。]

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