沢村忠

沢村忠：昭和を熱狂させた「キックの鬼」

沢村忠（さわむら ただし、1943年1月5日 - 2021年3月26日）は、昭和時代に一世を風靡した日本のキックボクサーです。満洲国出身で、本名は白羽秀樹。その強烈なキャラクターと必殺技「真空飛び膝蹴り」で、多くのファンを魅了し、「キックの鬼」として親しまれました。

幼少期からキックボクシングとの出会い

幼少の頃から祖父に剛柔流空手道を学び、中国武術にも触れていました。意外にも、子役として児童劇団に所属し、俳優を目指していた時期もありました。新東宝スターレットに合格し、城哲也の芸名でテレビドラマに出演しますが、新東宝の倒産により芸能活動を休止せざるを得なくなります。

その後、法政大学第一高等学校を卒業し、大映に入社。日本大学芸術学部映画科に進学し、脚本家を目指す傍ら、大学の空手部で才能を開花させ、全日本学生空手道選手権で優勝。60戦無敗という記録を打ち立てます。この実績が、キックボクシング協会設立者の目にとまり、プロの世界へ足を踏み入れるきっかけとなりました。

キックボクシング界での輝かしい活躍

1966年、日本キックボクシング協会旗揚げとともに、沢村忠としてデビュー。デビュー戦はKO勝利で飾ります。その後、ムエタイ選手との試合で敗北を喫しますが、この経験をバネに猛特訓を重ね、真空飛び膝蹴りを完成させます。この技を武器に、数々の強豪を打ち破り、一躍人気選手となりました。

1973年には、プロ野球の王貞治を抑えて日本プロスポーツ大賞を獲得するなど、その人気は社会現象となりました。雑誌の表紙を飾ることも多く、まさに時代のスターだったと言えるでしょう。

引退、そして晩年

1976年に引退。最終戦績は241戦232勝（228KO）5敗4分という驚異的なものでした。引退後は、格闘技界から一切身を引き、自動車の修理販売業を営む傍ら、子供たちに空手を教えていました。

2021年3月26日、肺がんのため78歳で逝去。その死は、多くの格闘技ファンに惜しまれました。

沢村忠が残したもの

沢村忠は、単なる強さだけでなく、その華麗な技とパフォーマンスで、キックボクシングをエンターテイメントとして確立しました。彼が確立したスタイルは、後の格闘技界に大きな影響を与え、多くのフォロワーを生み出しました。

「真空飛び膝蹴り」： 彼の代名詞とも言える必殺技は、多くの人々に衝撃を与え、子供たちの憧れの的となりました。
エンターテイメント性： 試合でのパフォーマンスやキャラクターは、格闘技をより多くの人々にとって身近なものにしました。

関連作品

キックの鬼： 沢村忠の半生を描いた漫画およびアニメ。彼の人気を決定づけました。
CRキックの鬼： 沢村忠をモチーフにしたパチンコ台。

沢村忠の人物像

沢村忠は、リングを降りれば温厚な人物だったと言われています。アルコールを全く受け付けない体質であり、他人の運転での乗り物酔いをしやすいという意外な一面も持っていました。


沢村忠は、昭和の格闘技界を彩った、まさに伝説のキックボクサーでした。彼の功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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