沢田節蔵

沢田節蔵

沢田節蔵は、1884年（明治17年）に鳥取県で生まれ、1976年（昭和51年）に生涯を閉じた日本の外交官です。東京帝国大学法学部を卒業後、外務省に入省し、外交官としてのキャリアをスタートさせました。彼は、国際連盟帝国事務局長やブラジル大使といった要職を歴任し、国際舞台で活躍しました。

平和主義者としての信念

沢田節蔵は、平和主義者として知られ、国際連盟脱退には強く反対しました。彼は、英米派の立場に立つリアリストでもあり、国際協調の重要性を深く認識していました。第二次世界大戦中には、鈴木貫太郎内閣の顧問として、終戦工作に奔走しました。カトリックの信者でもあった彼は、バチカンとの連携も模索し、戦争の早期終結に向けて尽力しました。

戦後の活躍

戦後、沢田節蔵は、佐藤尚武らと共に「霞が関」の長老として重きをなしました。また、その活動は多岐にわたり、文化放送の設立や会長就任、東京外国語大学の初代学長就任など、教育や文化の発展にも大きく貢献しました。さらに、世界経済調査会会長、日伯協会会長など、様々な団体の要職も務め、その幅広い活動は多くの人々に影響を与えました。

家族

沢田節蔵の兄弟もまた、それぞれが社会で重要な役割を果たしました。弟の沢田廉三は外交官として国連大使を務め、その妻である美喜は三菱財閥の岩崎久弥の長女であり、エリザベス・サンダースホームの創設者としても知られています。もう一人の弟、沢田退蔵は実業家として富士紡績の専務を務め、その妻である光子は、アメリカの雑誌『Time』の表紙を飾った初の日本人経済人である各務鎌吉の娘です。また、妹たちもそれぞれ名家と結婚し、広岡貞子は広岡財閥の、平生愛子は甲南学園創設者の、山本菊子は博進社の創業者一族と縁を結びました。

栄典

1934年（昭和9年）には正四位、1940年（昭和15年）には紀元二千六百年祝典記念章を授与されています。これは、彼の外交官としての功績が国からも高く評価されていたことを示しています。

家族構成

妻は、外交官の大山綱介の娘である美代子です。二人の間には、信夫、和夫（カトリック東京教区司祭）、昭夫、寿夫の四人の息子がいます。

著書

沢田節蔵は、『澤田節蔵回想録　一外交官の生涯』を著しており、この回想録は彼の人生や外交官としての経験を深く知る上で重要な資料となっています。また、『皇太子殿下 御外遊記』では、皇太子裕仁親王（後の昭和天皇）の欧州訪問に随行した際の記録をまとめています。


沢田節蔵は、激動の時代を外交官として生き抜き、平和のために尽力しました。その生涯は、現代においても多くの教訓を与えてくれます。

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