河合徳三郎

河合徳三郎

河合徳三郎（かわい とくさぶろう）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家、映画プロデューサー、政治家です。一代目は1870年（明治3年）に生まれ、1937年（昭和12年）に亡くなりました。二代目は初代の長男で、初代の死後にその名を継ぎ、大都映画の経営を引き継ぎました。

初代・河合徳三郎

初代の河合徳三郎は、もともと徳川家の家臣であった河合吉次の五男として生まれました。幼名は角太郎でしたが、兄の死去に伴い徳三郎を名乗るようになりました。1885年頃に岐阜県から東京へ出て、土木工事の現場で働き始めました。鈴木由三郎の鈴木組で頭角を現し、1900年頃には土木建築請負業「河合組」を東京市に登録しました。当時、土木業界では「河合の三羽烏」と呼ばれ、その一角を担っていたとされています。また、大日本土木組合では、元老である栗原源蔵とともに談合を仕切っていたという記述もあります。

河合は、1919年に大日本国粋会の結成に参加しますが、1921年には脱退し、大和民労会を設立しました。その後、鼈甲屋事件や大和民労会と大日本国粋会の抗争事件など、多くの抗争事件に関わりました。また、鶴見騒擾事件の調停にも関わったとされています。

1923年の関東大震災で大きな被害を受けましたが、復興ブームに乗って事業を再建しました。1927年には映画配給会社「河合商会」を設立し、同年には「河合プロダクション」を設立して映画製作を開始しました。自らもプロデューサーとして映画製作に関わり、多くの作品で原案も担当しました。

1928年には東京府会議員に当選し、2期8年間議員を務めました。1933年には河合映画製作社が東亜キネマを吸収合併し、「大都映画」が誕生。河合は引き続き社長を務めました。

1937年12月3日、初代河合徳三郎は生涯を閉じました。彼の墓は墨田区の常泉寺にあります。河合には、女優の琴路美津子、三城輝子、大河百々代という3人の娘がおり、曾孫には河合亞美がいます。また、俳優のハヤフサヒデトは義理の息子にあたります。

二代目・河合徳三郎

二代目河合徳三郎は、初代の長男として生まれました。生誕時の名前は篤文でしたが、後に覚太郎と改名し、初代の死後、徳三郎の名を継ぎました。二代目は、大都映画の経営を引き継ぎ、その発展に尽力しました。

河合徳三郎は、土木請負業から映画製作、政治活動まで、幅広い分野で活躍した人物です。その波乱万丈な生涯から、「天下の河合」と呼ばれました。彼の足跡は、日本の近代史において重要な位置を占めています。

参考資料

本庄慧一郎『幻のB級! 大都映画がゆく』集英社新書、2009年
山平重樹『義侠ヤクザ伝・藤田卯一郎』幻冬舎〈アウトロー文庫〉、2003年
* 山平重樹『ヤクザの死に様 伝説に残る43人』幻冬舎〈アウトロー文庫〉、2006年

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