河島醇

河島醇（かわしま じゅん/あつし）

河島醇は、1847年（弘化4年）に薩摩藩士の家に生まれ、幕末から明治時代にかけて活躍した人物です。武士、官僚、政治家として多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。幼名は新之丞といいました。

生い立ちと教育

薩摩藩士・河島新五郎長寛の長男として鹿児島に生まれた河島醇は、藩校である造士館で学びました。その後、戊辰戦争に従軍し、武士としての経験を積みました。明治維新後、1869年（明治2年）には昌平学校に入学し、さらに川田甕江塾で学びました。1871年（明治3年）にはドイツへ留学し、ローレンツ・フォン・シュタインのもとで行政学を学びました。

官僚としての活躍

1874年（明治7年）に帰国した河島醇は、外務省に入り、外交官としてのキャリアをスタートさせました。ドイツ、ロシア、オーストリアの公使館に勤務し、国際感覚を磨きました。1881年（明治14年）に帰国後は、大蔵省に転じ、議案局に勤務。その後も外務権大書記官、参事院員外議官補を歴任し、官僚としてのキャリアを積みました。

1882年（明治15年）から翌年にかけては、伊藤博文に随行して再びヨーロッパへ渡り、ドイツでシュタインから行政学を学びました。1884年（明治17年）には大蔵省調査局に勤務し、大蔵大書記官、欧州出張（財務事務調査）、一等主税官、大蔵省参事官などを歴任しました。これらの経験を通じて、財政・行政に関する深い知識と見識を身につけました。

政治家としての活動

1890年（明治23年）に官僚を退いた河島醇は、政治の世界へ転身しました。同年の第1回衆議院議員総選挙に鹿児島県第五区から出馬し、当選。以後、連続4回当選し、立憲自由党の幹事として活躍しました。

その後の活動

1897年（明治30年）には、日本勧業銀行の初代総裁に就任し、金融界での手腕を発揮しました。その後、滋賀県、福岡県の知事を歴任し、地方行政にも貢献しました。晩年には北海道庁長官を務め、1903年（明治36年）には貴族院勅選議員に任命され、亡くなるまでその職を務めました。

栄典

河島醇の功績は高く評価され、以下の栄典が授与されています。

1882年（明治15年）3月11日 - 勲五等双光旭日章
1902年（明治35年）6月30日 - 勲三等瑞宝章
1906年（明治39年）4月1日 - 勲二等旭日重光章・明治三十七八年従軍記章

著作・伝記

河島醇は、学術的な著作も残しています。

編著
スタイン述『憲法及行政法要義』集成社、1889年。

また、その生涯をまとめた伝記も出版されています。

伝記
* 河野弘善『河島醇伝 - 日本勧業銀行初代総裁』河島醇伝刊行会、1981年。

まとめ

河島醇は、幕末から明治にかけての激動の時代において、武士、官僚、政治家として、多岐にわたる分野で活躍した人物です。ドイツ留学で得た知識を活かし、日本の近代化に貢献しました。その功績は、現代においても高く評価されています。

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