河部利夫

河部利夫

河部利夫（かわべ としお、1914年5月27日 - 2011年3月9日）は、日本の歴史学者であり、東南アジア史研究の第一人者として知られています。東京外国語大学名誉教授、東京国際大学名誉教授の肩書を持ち、長年にわたり教育と研究に貢献しました。

生涯

河部利夫は1914年、群馬県高崎市に生まれました。旧制群馬県立前橋中学校（現在の群馬県立前橋高等学校）、旧制第二高等学校を経て、1939年に東北帝国大学法文学部西洋史学科を卒業しました。学業修了後は、東北大学の助手として研究活動に携わった後、タイに留学し、東南アジア史研究の基礎を築きました。

帰国後は、文部省民族研究所員を経て、東京外国語大学教授に就任。長年にわたり教鞭を執り、多くの学生を育成しました。1977年に東京外国語大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後、国際商科大学（現在の東京国際大学）教授、教養学部長を歴任し、同大学の名誉教授となりました。

研究内容

河部利夫の研究は、東南アジア史、特にタイの歴史、社会、文化に焦点を当てています。また、華僑（東南アジアにおける中国人社会）に関する研究も重要な業績として知られています。現地の歴史資料を丹念に読み解き、実証的な研究に基づいて東南アジアの歴史像を鮮やかに描き出しました。また、異文化理解の重要性を説き、日本と東南アジアの相互理解を深めることに貢献しました。

著書

河部利夫は、数多くの著書を執筆し、東南アジア史研究の発展に大きく寄与しました。主な著書としては、以下のものが挙げられます。

『基礎タイ語』 (大学書林, 1967年)
『世界の歴史 18 東南アジア』 (河出書房新社, 1969年)
『東南アジアの視点』 (評論社, 1969年)
『華僑』 (潮出版社, 1972年)
『タイ その変動の中で』 (泰流社, 1977年)
『タイ国理解のキーワード』 (勁草書房, 1989年)
『タイのこころ 異文化理解のあり方』 (勁草書房, 1997年)
『アジアするこころ 異文化理解のあり方』(玉川大学出版部, 2002年)

これらの著書は、専門家のみならず、一般読者にとっても東南アジアへの理解を深めるための貴重な資料となっています。

功績

河部利夫は、長年にわたる研究活動を通じて、日本の東南アジア史研究のレベル向上に大きく貢献しました。また、教育者として多くの学生を育成し、後進の研究者を育てました。その功績は、日本の学術界において高く評価されています。

河部利夫の業績は、東南アジア研究に携わる研究者や学生にとって、今後も重要な指針となるでしょう。

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