沸騰

沸騰とは

沸騰（ふっとう、英語: boiling）とは、液体が気体へと相転移する気化現象の一種であり、液体の表面だけでなく内部からも激しく気化が起こる状態を指します。水の場合を例に挙げると、水の内部から水分子が気体となって出て行く現象が沸騰です。液体の内部から気化が起こる現象を沸騰と呼ぶのに対し、液体の表面で起こる気化は蒸発と呼ばれます。

沸騰のメカニズム

液体の蒸気圧は温度の上昇とともに増加します。蒸気圧が外圧（液体の表面にかかる圧力）と等しくなると、液体内部に気泡が発生し、沸騰が起こります。この時の温度を沸点と呼びます。外圧が1気圧の時の沸点は標準沸点と呼ばれます。

沸点は外圧（気圧）によって変動します。外圧が1気圧よりも高くなると沸点は上昇し、低くなると沸点は降下します。例えば、水は1気圧下では約100℃（正確には99.974℃）で沸騰しますが、気圧の低い富士山頂では約90℃で沸騰します。この原理は、圧力鍋での調理や火力発電、原子力発電などに応用されています。

また、不揮発性の物質（気体になりにくい物質）を液体に溶解させると、沸点が上昇します。この現象は沸点上昇と呼ばれます。

突沸

沸点に達しているにもかかわらず、相転移が起こらず沸騰しない現象を過加熱といいます。過加熱状態の液体に振動などの刺激を与えると、突発的に沸騰が起こることがあり、これを突沸と呼びます。突沸を防ぐため、科学実験では沸騰石と呼ばれる多孔質の石が使用されます。

また、電子レンジやガスコンロ、IHクッキングヒーターなどを用いた調理過程でも突沸が起こることがあります。水だけでなく、豆乳やコーヒー、みそ汁、カレーなどを温めている際、容器に触れたり、かき混ぜたり、調味料などを加えたわずかな刺激で、高温の液体が激しく飛び散り、火傷を負うことがあります。そのため、事故防止の観点から、急な加熱を避けるなどの注意喚起が行われています。

沸騰水

沸騰している水を沸騰水と呼びます。外圧が変化すると沸点も変わりますが、通常は大気圧下で沸騰している約100℃の水が沸騰水として実験で使用されます。

沸騰水は常温の水に比べて反応性がやや高いという特徴があります。例えば、マグネシウムは常温では水と反応しませんが、沸騰水とは反応します。また、塩化鉄(III)水溶液は沸騰水によって加[[水分解]]が促進され、水酸化鉄(III)のコロイドと塩化物イオンと水素イオンに分解されます。

沸騰の様相

沸騰には、核沸騰と膜沸騰の2種類があります（詳細は沸騰曲線を参考）。核沸騰は、液体の内部に気泡が発生し、成長して液面から離脱していく沸騰で、比較的低い温度領域で発生します。一方、膜沸騰は、加熱面と液体の間に蒸気の膜が形成される沸騰で、高い温度領域で発生します。

比喩表現としての沸騰

「沸騰」という言葉は、水が激しく泡立ち吹き上がる様子から転じて、個人や集団、場の雰囲気が最高潮に盛り上がる様子や、不満が爆発する様子を表す際にも用いられます。

参考文献

竹内敬人『化学の基礎』岩波書店、1996年。ISBN 4-00-007981-6。

関連項目

気化
沸点
気化熱
融解
融点
融解熱
凝固
凝固点
昇華
凝縮
臨界点
相
液体
固体
気体
蒸気
沸騰曲線
パーコレーション
茹でる
炭酸ガス
乾燥

外部リンク

* 沸騰 - コトバンク

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