泉二新熊

泉二 新熊について

泉二 新熊（もとじ しんくま、1876年1月27日 - 1947年10月25日）は、日本の裁判官や官僚、刑法学者として知られています。彼は第20代大審院長や枢密顧問官として、法的な分野で著しい功績を残しました。出身地は奄美大島で、鹿児島県大島郡中勝村で育ちました。

生い立ち

泉二新熊は、鹿児島高等中学造士館を卒業後、1898年に第五高等学校の法科を経て、東京帝国大学に入学し、1902年に卒業しました。その後、司法省に入省し、さまざまな法務の職に就きました。

職業経歴

新熊は1915年に大審院判事となり、1936年には検事総長、1938年には大審院長に昇進しました。彼は退官後、枢密顧問官として活動し、同時に刑法学者としても名を馳せました。「泉二刑法」と称される彼の刑事司法に対する考え方は、折衷的客観主義に基づいており、実務論にも影響を与えました。

特に、「方法の錯誤」に関する大審院判決に関与し、法定的符合説を採用することに寄与しました。この判決変更により、現行刑法では故意犯の成立を認める誤殺傷罪が削除されました。これに伴い、それ以降の最高裁判所も法定的符合説を採用し、現在に至るまでその立場が維持されています。

家族

泉二新熊の子供には、急逝した芸術家の泉二勝磨（1905年 - 1944年）がいます。家族としても著名な経歴を持つ者がいます。

年譜

• - 1876年: 奄美大島に生まれる。
• - 1902年: 東京帝国大学を卒業。
• - 1915年: 大審院判事。
• - 1936年: 検事総長。
• - 1938年: 大審院長。
• - 1941年: 定年退官。
• - 1942年: 枢密顧問官。
• - 1947年: 逝去（享年71）

栄典

泉二新熊はその功績により、以下のような位階と勲章を授与されました。

• - 位階: 従七位から正三位まで昇進。
• - 勲章: 勲六等瑞宝章から旭日大綬章など、数多くの勲章を受け取っています。
• - 外国勲章: 大清帝国やロシア帝国の勲章も受けており、国際的にも評価されました。

著書

彼は機会をとらえて多くの著作を発表しており、特に以下の著作が知られています。

• - 『改正日本刑法論』（有斐閣、1908年）
• - 『刑法大要』（1911年）
• - 『刑事学研究』（1920年）
• - 『法窓餘滴』（1942年）

泉二新熊の生涯は、日本の法制度に大きな影響を与えており、特に刑法における彼の視点は法律学界での議論を活発にしました。彼の取り組みと業績は、今なお多くの法学者に評価されています。

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