泉守紀

泉守紀の生涯と沖縄県知事としての活動

泉守紀（いずみ しゅき）は、1898年2月11日に山梨県で生まれ、1984年10月21日に亡くなった。彼は第二次世界大戦中、官選沖縄県知事を務め、特に住民保護や防衛体制の構築に影響を及ぼしたが、連合国軍の上陸前に転任している。

来歴

泉は教育者である泉文作の三男として育ち、旧制第七高等学校を卒業後、1923年に東京帝国大学法学部を修了した。内務省に入省し、警察関連の職務に従事するが、彼のプライベートには難しい局面もあった。特に妻となる女性との関係が親族に反対されたため、内縁的な形で結婚生活を強いられた。

1943年7月、沖縄県知事への任命が下され、泉は7月26日に就任した。彼は沖縄の文化や歴史を学ぼうとする姿勢を持ち、当初は住民から歓迎されていたが、しだいに沖縄独自の慣習に対する苛立ちを見せるようになった。

泉は厳しい仕事ぶりで知られ、部下に飲酒を慎むように指導したことから、次第に反感を買うようになった。また、沖縄の住民疎開方針に対して異論を唱え、慰安所の設置に協力しないなど、軍との対立を深めた。

転任とその評価

1944年10月10日の十・十空襲では、泉の行動が問題視された。県庁や警備本部を離れ、官舎の防空壕に籠もったとされ、これが県民や報道機関からの批判を招いた。特に戦後、彼の転任が「卑怯な逃亡」として非難されることになる。

1945年1月、泉は香川県知事への転任命令を受け、沖縄県政から離れた。香川県知事としての短い任期中、彼はラジオでの経験談を語るなど活動を続けたが、沖縄戦の終息を知った際には、後任者に対する悲しみを日記に残している。

戦後の活動と死

戦後は公職追放を受けたものの、後に「日本交通安全協会」の初代専務理事を務める。1958年には内縁の妻と正式に入籍し、プライベートな面でも安定を得た。1984年には老衰により亡くなったが、その生涯は沖縄や日本の戦争歴史との関連に深く影響を与えたと言える。

軍との関係

泉は、沖縄知事として軍との間に難しい関係があった。軍が求めた住民の避難について、彼は県外への疎開を否定し、島内疎開を主張するなどの対立を見せた。また、慰安所の設置に対しては強い反発を示している。これらの行動が彼の知事としての評価に影響を及ぼす結果となった。

おわりに

泉守紀の政治生命は、その時期の沖縄という厳しい状況の中で形成され、彼の判断や行動は、現在の歴史的評価を通じて多くの議論を呼んでいる。彼の生涯からは、戦争の悲劇とそれに直面した政治家たちの苦悩が垣間見える。

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