法持寺

法持寺（ほうじじ）

法持寺は、愛知県名古屋市熱田区白鳥に位置する曹洞宗の寺院で、その山号は白鳥山です。この寺院の歴史は非常に深く、さまざまな文化や宗教的な影響が見られます。

歴史と由緒

法持寺の起源は、天長年間に遡ります。当時、空海が熱田神宮に参籠した際に、日本武尊を敬い延命地蔵菩薩像を彫り、小さな祠を建立したことが始まりとされます。このため、設立当初は宝持寺と呼ばれていました。その後の宝徳元年（1449年）、もしくは文明年間（1469～1486年）に、圓通寺の2世である明谷義光によって曹洞宗の寺院として再興されました。承応年間（1652～1654年）には現在の名前である法持寺に改称され、その後も多くの歴史的出来事がこの寺院に影響を与えました。

特に戦国時代には、織田信長が桶狭間の戦いに向かう途中で法持寺に立ち寄り、必勝祈願を行ったことが伝えられています。

復興と発展

法持寺は宝暦7年（1757年）に大火に見舞われ、すべての建物が焼失しましたが、その後の復興により再び繁栄を迎えました。この様子は『尾張名所図会』にも描かれており、当時の人々にとっても大きな存在であったことが伺えます。その後、いくつかの塔頭がありましたが、最終的には3つの塔頭が残り、現在ではそれらを含む23の末寺が存在しています。

近代の変遷

1868年（明治元年）には、永平寺から常恒会としての寺格を与えられ、有栖川宮一品親王の祈願所としても知られるようになりました。1928年（昭和3年）には曹洞宗専門の僧堂が設立され、多くの雲水たちが修行を行う場となりました。

第二次世界大戦中には、徴兵検査場や修養練成場、さらには挺進隊宿泊所としても使用されましたが、それと同時に著名な文化人たちも訪れていたことがわかります。たとえば、沢木興道、山岡荘八、川端康成などがその一部です。

1945年5月17日の空襲により、本尊や開山像以外の全山が焼失しました。また、6月9日の熱田空襲でも被害を受け、多くの重要な文化財が失われました。1955年には戦災復興都市計画に基づき、旧境内は宮中学校へと変わりましたが、新たに設立された境内は現在の白鳥古墳の隣に位置します。

文化人との関わり

法持寺は多くの俳人にとって特別な場所でもあります。松尾芭蕉や林桐葉、若山牧水などがここで句会を開いたことが知られています。芭蕉の紀行文『野ざらし紀行』には、彼らが三吟歌仙を催した様子が記されています。このように、法持寺は詩や文学とも深い関わりがあります。

大相撲との結び付き

1957年からの30年間、法持寺は大相撲名古屋場所の際、三保ヶ関部屋の宿舎として利用されました。境内には横綱北の湖に関する石碑や、土俵跡なども残されており、相撲文化との結びつきが強いことがわかります。

このように、法持寺は多くの歴史的な出来事や文化人との関わりを持ちながら、地域に根ざした存在として今日まで続いています。

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