法源

法源（ほうげん）とは

法源とは、法の根源、淵源、または存在形式・根拠を意味する言葉です。裁判官が裁判で判決を下す際に依拠する、重要な判断基準となります。

法源の種類

法源には、大きく分けて形式的法源と実質的法源の2種類があります。

形式的法源：裁判官が判決理由として引用できる、法の形式的な存在形態を指します。例えば、日本法における憲法や法律がこれに該当します。
実質的法源：法を発生させる実質的な要因や淵源を指します。「主権者の意思（民意）」や「神意」などが該当しえます。

一般的に「法源」という言葉は、形式的法源の意味で用いられることが多いです。

大陸法と英米法における法源の違い

大陸法：議会制定法が主要な法源となります。判例は法源とは考えられていません。
英米法：裁判官による判例が第一次的な法源となります。

ただし、大陸法の国においても判例に一定の拘束力が存在することが多く、両者の違いは効力の差と考えることもできます。

日本は大陸法系の国ですが、判例の法源性については学説が分かれています。少なくとも、英米法系諸国における判例法とは異なり、法の基幹部分を担うものではありません。

日本法の法源

日本国憲法下の法源としては、以下のものが挙げられます。原則として、数字が小さいものほど強い法的効力を有しており、下位の法源は上位の法源に矛盾してはなりません。

1. 憲法：日本国憲法は、法律、命令、詔勅、国務に関するその他の行為、日本国が締結した条約、確立された国際法規よりも優位にあります。
2. 条約
3. 法律
4. 命令：政令、省令
5. 規則：議院規則、最高裁判所規則
6. 条例
7. 判例：最高裁判所の判例が強力な拘束性を有していることに鑑み、判例を法源として挙げる見解もありますが、争いがあります。
8. 慣習法
9. 条理

その他の法源

大日本帝国憲法下の法源

大日本帝国憲法下においては、勅令や閣令といった形式的法源も存在しました。

江戸時代以前の法源

江戸時代以前の日本においては、各時代の慣習法、氏族の不文法、荘園的慣習法、各時代の成文法（十七条の憲法、律令・格式、武家法、分国法・家法、幕藩法）などが法源として存在しました。

国際法の法源

国際法においては、伝統的に慣習法と条約が法源として認められてきました。現代では、国際条約が最も重要な法源となっています。

国際司法裁判所規程では、国際条約、慣習法、法の一般原則、判例・学説が掲げられています。ただし、判例・学説は真正な法源とは考えられておらず、法の認識源にすぎないと言われています。

イスラーム法

イスラーム法における形式的法源としては、クルアーン、ハディース、イジュマー、キヤースが挙げられます。加えて、過去の判例や法学者の学説、条理も補充的な法源とされています。

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