格式

格式（きゃくしき）とは

格式とは、古代の律令制度を補完するために制定された法令群のことで、律令の修正・補足を行う「格（きゃく）」と、律令の施行細則を定める「式（しき/のり）」から構成されます。

概要

律令制度は、根本法典である「律（刑法に相当）」と「令（行政法・民法に相当）」を基本とし、必要に応じて「格」を制定して改正や追加を行い、「式」によって細かな施行規則を定めて運用されました。格は、個々の法令を指すこともあれば、詔勅や太政官符などを含めた法令全般を指すこともありました。式は、律令の条文に付随する規則とみなされることもありましたが、実際には、律令の改正・増補を格、施行細則を式と明確に区別できない場合もありました。また、格式に収録された詔勅や官符は、発令時の原文と異なる場合があり、これは現行法としての有効性を維持するために、無効部分の修正や増補が行われたためです。

歴史

歴史上最古とされる格式は、東魏で制定された『麟趾格』と『中興永式』です。東アジアでは、律令とともに格と式が同時に制定されることが望ましいとされましたが、各国で運用方法が異なりました。中国では、律令編纂と同時に格と式が編纂・施行されたのに対し、日本では律令編纂後に詔勅や太政官符をまとめて編纂する方法がとられました。また、中国では格が限定的な法律に縮小されたのに対し、日本では律令が新規に制定されなくなったため、格の占める比率が高まりました。

日本では、8世紀には格式に相当する法令の集成が試みられ、桓武天皇も律令の改正を試みましたが、実現には至りませんでした。弘仁年間になってようやく「四者相須て、以て垂範するに足る」状況となりました。また、中国では新しい格式が制定されると旧格式が廃止されましたが、日本では古い格式も併用され、式については『延喜式』制定時に既存の『弘仁式』『貞観式』を廃止したものの、『貞観格』は廃止されず、三代の格を全て調べる必要が生じました。

格・式・例

格は、個々の法令を原文に近い形で記載し、関係官司ごとに配列しています。式は、令の施行細則だけでなく、令外官設置の根拠法規としても用いられました。式に準じたものとして「例」があります。

東アジア3国における相違

中国では、律令編纂と同時に格と式が制定された一方、日本では律令編纂後、しばらくしてから詔勅や太政官符の形式で追加された法令を後日まとめて編纂する方法が採られました。日本では律令が作られなくなったため、格の占める割合が増大し、律令を否定する法令も格の形式で出されました。新羅では、隋・唐の律令をそのまま受け入れつつも、格式によって自国の国情に合わせた法体系に修正しました。

日本における格式の変遷

日本では、平安時代中期以降、律令政治という建前を維持しつつも、実質的には格式に基づく政治が行われました。格式は、律令の補助法令としての側面と、社会変化に対応するために制定されたという側面を持っていました。格式は、律令の補完だけでなく、時代の変化に対応するための重要な役割を担っていたと言えます。1378文字

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