法輪寺 (奈良県斑鳩町)

法輪寺（ほうりんじ）

法輪寺は、奈良県生駒郡斑鳩町三井にある聖徳宗の寺院です。妙見山と号し、本尊は薬師如来です。「三井寺（みいでら）」とも呼ばれ、古くは「法林寺」「法琳寺」とも表記されました。法隆寺東院の北方に位置し、静かな佇まいを見せています。

歴史

法輪寺の創建については、『日本書紀』などの文献に詳しい記述がなく、不明な点が多く残されています。創建については、古くから2つの説があります。

山背大兄王創建説: 聖徳太子の子である山背大兄王が、太子の病気平癒を祈るため、推古天皇30年（622年）に創建したという説
百済の僧侶創建説: 法隆寺焼失後、百済の開法師・円明法師・下氷新物の3人が創建したという説

発掘調査の結果から、7世紀中頃には存在していたことがわかっています。出土した瓦などから、法隆寺再建伽藍に近い瓦と、それより古い瓦が見つかっており、創建当初の様子をうかがい知ることができます。

中世から近現代

貞治6年（1367年）に火災で焼失し、一時衰退しましたが、江戸時代に入ると寶祐上人によって妙見信仰が広められ、伽藍の復興が進められました。しかし、明治時代には三重塔が落雷により焼失するという悲劇に見舞われました。現在の三重塔は、1975年（昭和50年）に再建されたものです。

境内

境内には、金堂、講堂（収蔵庫）、三重塔などがあります。

金堂: 本尊薬師如来坐像、虚空蔵菩薩立像などは講堂（収蔵庫）に移されています。
講堂（収蔵庫）: 薬師如来坐像、虚空蔵菩薩立像が安置されています。
三重塔: 1944年（昭和19年）に焼失後、1975年（昭和50年）に再建されました。近隣の法隆寺、法起寺の塔とともに斑鳩三塔と呼ばれていました。
西門: 奈良県指定有形文化財に指定されています。

文化財

法輪寺には、数多くの文化財が所蔵されています。特に有名なのは、以下の仏像です。

木造薬師如来坐像: 重要文化財。飛鳥時代後期の作で、クスノキ材の一木造です。現在は収蔵庫に安置されています。
木造虚空蔵菩薩立像: 重要文化財。飛鳥時代後期の作で、クスノキ材の一木造です。こちらも現在は収蔵庫に安置されています。

これらの仏像は、飛鳥時代の仏教美術の粋を集めたもので、当時の人々の信仰心や技術の高さを今に伝えています。

アクセス

所在地: 〒636-0101 奈良県生駒郡斑鳩町三井1570
交通アクセス: JR西日本関西本線大和小泉駅から徒歩15分

法輪寺は、聖徳太子ゆかりの寺院として、また、飛鳥時代の仏教美術を伝える貴重な文化財の宝庫として、多くの人々から信仰を集めています。静かな境内で、歴史と文化に触れてみてはいかがでしょうか。

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