波多野睦美

波多野 睦美

波多野 睦美（はたの むつみ）は、1964年（昭和39年）に生まれた日本のメゾソプラノ歌手です。本籍地は大分県ですが、宮崎県で誕生しました。

経歴

幼少期を過ごした宮崎県から、中学時代には大分県へ移り、大分市立上野ヶ丘中学校で合唱に興味を持ちます。大分県立大分上野丘高等学校に進学後も合唱を続け、並行して宮本修氏から個人指導を受けました。宮崎大学教育学部を卒業後、公立高等学校の教員としての道を歩み始め、大分県立大分豊府高等学校に音楽講師として一年間勤務しました。

その後、声楽への探求を深めるため渡英を決意。ロンドンのトリニティ音楽大学に留学し、声楽科専攻科を修了しました。帰国後は、大分県立芸術短期大学付属緑丘高等学校で非常勤講師を務める傍ら、自身初となるリサイタルを開催するなど、演奏活動を本格化させます。これまでに、宮本修氏に加え、地村俊政氏、高田重孝氏、江口元子氏、そしてエリザベス・ホウズ氏といった国内外の著名な指導者や音楽家から学びを得ています。

主な活動

波多野睦美氏のキャリアにおいて特筆すべきは、1990年からリュート奏者のつのだたかし氏と共に続けているリュートソングのデュオ活動です。二人は長年にわたり、古楽を中心に数多くのコンサートを行い、この分野における第一人者としての地位を確立しました。

また、つのだ氏が率いる古楽アンサンブル「タブラトゥーラ」のアルバムにも度々ゲスト歌手として参加しており、リュートソングの名盤として知られるCD『悲しみよとどまれ』や『サリーガーデン』を発表しています。

国際的な舞台での活躍も多く、2001年にはつのだ氏と共に「イギリスにおける日本年 JAPAN2001」に参加しました。この企画の一環として、リンカーンやケンブリッジを含むイギリス国内の主要な6都市で開催された古楽フェスティバルで公演を行い、各地で高い評価と熱狂的な歓迎を受けました。同年には、アメリカで開催された中日韓米世界平和祈念コンサートにおいて、作曲家・間宮芳生氏の『セレナーデIII』を世界で初めて演奏する機会を得ました（この作品は2005年にも再演されています）。

国内では、大手レコード会社であるエイベックスからも積極的に作品を発表しており、日本歌曲を独自の解釈で歌い上げたアルバム『美しい日本の歌』や、様々な時代の楽曲を収録した『ひとときの音楽』などをリリースし、幅広いリスナーにその歌声を届けています。

レパートリー

波多野睦美氏のレパートリーは非常に幅広く、特に16世紀から18世紀にかけての初期バロック音楽やルネサンス音楽に重点を置いています。具体的には、歌曲、マドリガル、カンタータなどを中心に演奏活動を展開しています。また、15世紀から17世紀にかけてのイギリス（スコットランドを含む）やスペインの歌曲、そして民謡も重要なレパートリーとしており、これらの楽曲をコンサートやCD録音で多く取り上げています。これらの古楽作品に加え、日本の近現代歌曲やフランスの近現代歌曲もプログラムに取り入れ、多様な音楽表現を追求しています。

オペラへの出演も行っており、主要な役としては、

ヘンリー・パーセル作曲『ディドとエネアス』より、女王ディドー
クラウディオ・モンテヴェルディ作曲『オルフェーオ』より、音楽の精
ジャン＝フィリップ・ラモー作曲『イポリートとアリシー』より、王妃フェードル
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲『イドメネオ』より、王子イダマンテ

などを演じています。

その他

演奏活動以外にも、2013年4月からはBS-TBSのドキュメンタリー番組『Life 世界と踊る』でナレーションを務めるなど、多方面で活躍しています。

関連人物として、長年の音楽上のパートナーであるリュート奏者のつのだたかし氏が挙げられます。

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