波除稲荷神社

波除稲荷神社の概要

波除稲荷神社（なみよけいなりじんじゃ）は、東京都中央区築地六丁目に位置し、稲荷神の神体である倉稲魂命（うかのみたまのみこと）を主祭神として祀っています。この神社は単に波除神社（なみよけじんじゃ）とも呼ばれ、築地地域の氏子たちによって信仰されています。

創設の背景

波除稲荷神社の創建は、江戸時代の中期に遡ります。万治2年（1659年）、築地地区は江戸湾の埋め立て工事の最中でしたが、荒波の影響で工事は難航していました。その際、ある晩に海面に光を放つ御神体が漂っているのが発見され、これをきっかけに社殿が建立されました。この神体を祀ったことで、波の影響が収まり、工事が順調に進んだため、以後「波除稲荷」として厄除けのご利益が広まり、多くの信奉を集めるようになりました。

建造物の特徴

波除稲荷神社には多くの見どころがあります。社殿は昭和12年に完成した唯一神明造で、特にその構造が注目されています。また、厄除天井に設置された大獅子や弁財天社にあるお歯黒獅子など、独特の文化を反映した建物も魅力的です。さらに附属社として、おきつね様や様々な塚や石が存在し、築地市場で取引される魚介類や卵に対する感謝の意を表しています。

末社や摂末社

この神社には複数の末社が設けられており、主祭神のほかに弁財天社や天照大神、大国主命、少彦名命、天日鷲命など多くの神々が祀られています。区指定文化財として位置付けられている獅子頭一対や鉄製天水鉢も、訪れる人々に歴史を感じさせる要素となっています。

行事と祭り

波除稲荷神社では、年間を通じて様々な神事や祭りが行われており、地域住民による活発な参加が見られます。元旦には初祈祷や元旦祭が行われ、厄除けのための特別な祈願も行われます。また、毎年恒例の季節行事には、桃の神事や竹の神事、風日祈祭などがあり、特に地域に密着した行事が多いのが特徴です。特に築地獅子祭りなどでは地元の文化が色濃く反映されており、訪れた人々にも地域性の強さを感じさせます。

アクセス

波除稲荷神社へのアクセスは非常に便利で、東京メトロ日比谷線の築地駅及び都営大江戸線の築地市場駅からも近く、多くの参拝者が気軽に訪れることができます。また、都営バスを利用すれば築地6丁目で下車可能で、交通の便が整っています。

波除稲荷神社は、その歴史的背景と地域に根ざした文化を持つ神社として、今もなお多くの人々に親しまれています。どなたでも訪れやすい場所にあり、神社の独特な魅力と温かみを感じられることでしょう。

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