泣きながら生きて

泣きながら生きて

『泣きながら生きて』は、フジテレビで放送された感動のドキュメンタリー番組であり、その後劇場公開もされた作品です。

概要

番組は、文化大革命と下放政策によって教育の機会を奪われた中国人男性、丁尚彪氏の15年間にわたる日本での生活を追っています。彼は日本の大学への入学を夢見て来日するも、現実は厳しいものでした。

留学先に選んだのは、過疎化が進む北海道東部の阿寒町（現在の釧路市）。留学費用を借金で賄った彼は、返済と日本語の習得という二重の課題を抱えながらのスタートでした。しかし、阿寒町ではアルバイトを見つけることさえ困難で、日本語学校を飛び出さざるを得なくなります。ビザの延長も認められず、不法滞在者となってしまったのです。

番組では、このような苦境に立たされながらも、家族のために懸命に生きる丁尚彪氏の姿を克明に描いています。

15年にわたる日本での生活

1989年（平成元年）: 35歳で来日。中国人向けの日本語学校、飛鳥学院阿寒校に入学。
1996年（平成8年）: 自身の大学進学を諦め、一人娘にその夢を託します。娘は中国屈指の名門、復旦大学付属高校に通っていました。丁尚彪氏は、昼は工場で働き、夜は中華レストランでアルバイトに励み、稼いだお金を中国の家族に送金し続けました。また、仕事に困らないように、独学で日本語を学び、フォークリフト運転者やクレーン運転士などの資格を取得しました。一方、妻は中国で働き、丁尚彪氏からの送金を娘の大学留学資金として貯蓄していました。
1997年（平成9年）: 娘がニューヨーク州立大学に合格。産婦人科医を目指して留学します。東京経由でニューヨークへ向かう娘が一時帰国し、8年ぶりに父と再会を果たしました。
2002年（平成14年）: 妻が12回目の申請でようやく査証を取得。ニューヨークで暮らす娘に会うため来日しました。上海から東京を経由してニューヨークへ向かう妻は、13年ぶりに夫との再会を果たし、72時間のトランジットを利用して浅草寺などを観光しました。
2004年（平成16年）: 丁尚彪氏は帰国を決意します。それは、15年間暮らした日本に二度と入国できないことを意味していました。帰りの飛行機の中で、彼は人目をはばからず号泣したといいます。娘はその後、アメリカの病院に勤務しながら勉学に励み、大学を卒業して医学博士となりました。

音楽

番組では、フジテレビのテレビドラマ『白線流し』や『Age,35 恋しくて』などで使用されたBGMが効果的に使用され、感動を深めています。

製作スタッフ

企画、プロデュース: 張麗玲
ナレーション: 段田安則
特別感謝: 前田純司（フジテレビジョン）
特別協力: 株式会社大富、大倉商事株式会社
技術協力: TSP
プロデューサー: 横山隆晴

劇場公開までの道のり

番組放送後、DVD化や再放送は様々な理由から実現しませんでした。しかし、放送を見て感銘を受けた当時慶應義塾大学経済学部の学生だった中村俊喜さんが、関係者に働きかけた結果、2009年11月28日に新宿バルト9での劇場公開が決定し、その後全国へと広がりました。

関連情報

張麗玲
中国からの贈りもの
金曜プレステージ

外部リンク

金曜プレステージ
泣きながら生きて - ウェイバックマシン（2007年3月11日アーカイブ分）

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