洞院実世

洞院 実世（とういん さねよ）の生涯

洞院実世は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて活動した公卿であり、その名は南朝政権における重要な政治的役割で知られています。彼は、太政大臣・洞院公賢の子として生まれましたが、母の身分が低いために嫡子として認められず、父とは表向き義絶の状態だったと言われています。彼は、後醍醐天皇の信任を受けて、早くから倒幕運動に関与し指導的な役割を果たしました。

初期の経歴

嘉暦2年（1327年）に初めて公職に就き、参議に任じられると、元徳2年（1330年）には権中納言、その後は左衛門督や検非違使別当を兼任しました。元弘の乱（1331年）に参加した際には、六波羅探題に捕まるものの、父公賢の邸宅で謹慎という形で事なきを得ました。

建武政権下での活動

鎌倉幕府滅亡後、光厳天皇の廃位に伴い、実世は政権に復帰しました。後醍醐天皇の建武政権では、彼は恩賞方上卿や雑訴決断所寄人として重要な役割を担い、政権の中核を支える存在となりました。しかし、1335年に足利尊氏が反乱を起こした際には、搦手軍として同行するものの、未遂に終わります。この年の12月には、東海道軍の敗戦を受けて退却を余儀なくされます。

その翌年、北畠顕家と合流し、足利方を攻撃し、京都から尊氏を追放しますが、尊氏が再び上洛すると後醍醐と共に比叡山に隠れます。その後、延元2年には北陸へ逃れ、「北陸朝廷」を成立させる中で、実世は伝奏を担当しましたが、足利軍の圧力で再び逃げることとなり、その後は美濃や尾張を経て南朝の基盤を模索しました。

後村上天皇とその支援

後村上天皇即位後、実世は四条隆資と共に伝奏として幼帝を支え、その権限は北畠親房に次ぐものでした。正平4年（1349年）には伊賀で南朝勢力を編成し、九州下向の準備も整えるなど、多忙に活動します。しかし、観応の擾乱の中で南軍が敗北した際には、その影響で撤退せざるを得ませんでした。

晩年と評価

正平8年（1353年）に大臣に任じられると、その活動は次第に見られなくなり、息子と共に河内国へ逃れる事態に。最終的に、正平13年（1358年）に水腫のために51歳で亡くなります。彼の存在は、南朝の内政でも重要な位置を占めており、特に対室町幕府に対しては強硬論者とされます。

彼の思想と人間性

洞院実世は、一般に硬直した思想の持ち主とされており、数々の逸話が彼の立場を際立たせています。しかしその一方で、彼を「大才」と称賛する文献も存在し、歴史的には混乱の時代にあったにもかかわらず、彼の業績や思想が注目されています。南朝における実世の役割は、今日に至るまで影響を与え続けています。

もう一度検索