津上忠

津上忠

津上忠（つがみ ただし、1924年2月27日 - 2014年9月28日）は、日本の劇作家、演出家として知られています。東京に生まれ、鎌倉アカデミア演劇科と舞台芸術学院で演劇を学びました。演劇協会監事、日本民主主義文学会副会長・幹事、町田ペンの会会長、劇作家協会会員といった要職を歴任し、演劇界、文学界に貢献しました。

前進座での活躍

津上忠は、前進座の座友として長きにわたり活動し、数多くの創作劇や脚色、演出を手がけました。特に、幸田露伴の『五重塔』や森鷗外の『阿部一族』といった作品は、前進座の定番演目として長く愛されています。これらの作品は、日本の古典文学を現代演劇として蘇らせる彼の才能を示す好例と言えるでしょう。

多岐にわたる活動

津上忠は、前進座での活動にとどまらず、東宝や松竹など、他の劇団の制作作品にも携わりました。また、松本清張との親交も深く、清張原作のテレビドラマの脚色も担当するなど、幅広い分野で活躍しました。テレビやラジオドラマの作品も手がけるなど、メディアを横断した活動を展開しました。

主な創作作品

『乞食（かんじん）の歌』
『早春の賦』

これらの作品は、津上忠の社会に対する深い洞察力と、人間愛に満ちた視点を反映していると言えるでしょう。

晩年と死

2014年9月28日、90歳で生涯を閉じました。同年11月13日には、前進座主催のお別れの会が如水会館で開かれ、多くの関係者が彼の死を悼みました。

著書一覧

『津上忠歴史劇集』未来社 1970
『早春の賦 小林多喜二 プロローグとエピローグのある九場』未来社　てすぴす叢書　1973
『演劇と文学の間 劇作修業と体験的劇作論』光和堂 1982
『歴史小説と歴史劇』新日本新書　1982
『現代劇選集』青磁社 1984
『歴史紀行』新日本出版社 1985
『炎城秘録 津上忠戯曲選』影書房 1990
『幕の内外で 芝居噺』新日本出版社 1992
『のべつ幕なし』新日本出版社 1996
『不戦病状録抄 津上忠作品選集 続・のべつ幕なし』本の泉社 2008
『作家談義 評論・エッセイ集』影書房 2010
『評伝演出家土方与志』新日本出版社 2014
『演劇論講座』全6巻・補巻 菅井幸雄,香川良成共編 汐文社 1976-78

これらの著書は、彼の演劇に対する情熱と、深い知識、そして豊かな経験を物語っています。

参考文献

『作家談義』（本人著書、影書房刊行）の内容および略歴

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