津具金山

津具金山について

津具金山（つぐきんざん）は、愛知県北設楽郡津具村大桑に存在した鉱山で、現在は設楽町の一部として知られています。鉱山の歴史は非常に古く、武田信玄の時代から現代に至るまで様々な出来事が詰まっています。ここでは、その長い歴史と特徴、そして現代に残る文化的な意義について詳しく見ていきましょう。

歴史

武田信玄の発見

時は1570年代、元亀年間（1570年～1573年）に武田信玄が津具金山を発見し、そこから24万両分もの金を掘り出したと言われています。この時期、信玄は軍資金を得るために金を必要としていたため、金山の存在は大いに役立ちました。しかし、信玄の死後、同じく信玄の部下であった依田兵部丞が金掘奉行として採掘に携わりましたが、彼も1582年頃に津具で亡くなり、結果として金山は放棄されることになります。

明治から大正期の再開発

1895年、上津具村の古瀬金兵衛が新たな金鉱脈を発見します。彼は1896年に採掘を開始しましたが、技術や経営に不慣れだったために数年で閉山しました。その後、金山は何度か売却され、経営が試みられましたが、資金不足や技術的な壁があり、次々と頓挫しました。例えば、安田光房に鉱山を売却された後も、彼の経営も実らずに終焉を迎えました。大正6年には東京都の人が経営に関わりますが、これも第一次世界大戦後の混乱期に休山となります。

津具金山株式会社の設立

1932年に再度採掘が再開され、技師の藤城豊が新たな鉱脈を見つけると、1934年には資本金50万円で津具金山株式会社が設立されました。この頃は浮遊選鉱場や索道などのインフラが整備され、同年には国の重要鉱山に指定されるまでに至ります。1938年から1942年の最盛期には、坑道が6000メートル以上延び、従業員も300人を超え、多忙を極めました。

しかし、1941年の太平洋戦争勃発によって、金の需要が減少し、鉄や銅の需要が高まります。これにより経営が困難になり、社長が辞任するなどの事態が発生しました。1957年には採掘は終了し、経営の行き詰まりで鉱山は競売にかけられます。こうして津具金山の長い歴史は幕を閉じました。

現代の津具金山

1976年に「信玄坑」が津具村の指定有形文化財（史跡）に認定され、その後2005年には津具村が設楽町と合併され、町の指定有形文化財となりました。現在は設楽町津具民俗資料館に金鉱石や鉱石をすりつぶした金摺石が保存されており、歴史的な価値を持っています。

地質と産出物

津具金山周辺の地質は独特で、領家変成岩や砂岩、泥岩などから成る地域に位置しています。この金山は日本でも珍しい浅熱水性鉱脈にあたります。採掘されていたものには金や銀、辰砂（水銀）、輝安鉱（アンチモン）、輝水鉛鉱（モリブデン）などがあります。

思い出と意義

津具金山はその多様な歴史から、ただの鉱山としての枠を超え、地域の文化や人々の生活に深く関わってきました。特に「見出」という地名は、砂金が発見されて名付けられたもので、この地域の鉱山がもたらした影響を示唆しています。これからも、津具金山の遺跡や文化財が大切に守られ続け、地域の誇りとして存在し続けることでしょう。

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