津島 (今治市)

津島の紹介

津島（つしま）は、瀬戸内海のほぼ中央に位置し、来島海峡の北東に面した有人島です。大島の一部であり、周囲には大突間島があり、大島の西側に位置しています。津島は、芸予諸島の一部として愛媛県今治市に属しており、その自然の美しさや歴史的な背景から訪れる人々に魅力を与えています。

地理と自然

津島はその地質的特徴から、花崗岩を豊富に産出し、「津島石」として知られています。過去には石切場も存在し、地域の特産品の一つとされました。また、昭和40年代までこの島にはニホンカワウソが生息していたという記録も残っています。島の西端には灯台があり、海の安全を守る役割を果たしています。さらに、島の中腹には船舶通航信号所が設置されており、地域の海上交通を支えています。

島名の由来

津島の名前の由来には古い歴史があります。以前は、古くから「門島」と呼ばれることもありました。その理由は、古代の津倉港（現在の吉海港）の西の入り口に位置していたためです。後に帆船が主要な交通手段となる中で、「基地」を意味する「津島」という名称が使われるようになりました。

歴史的背景

津島の歴史も多様で興味深いものです。中世には、河野水軍の武将・田房隼人正によって城砦が築かれましたが、天正13年に落城し、彼の一族は滅びました。近世には今治藩に属し、農村が形成され、瀬戸内の海上交通の要衝として海運業が盛んでした。津島には大山祗神社があり、ここには大型帆船から寄進された絵馬が残されています。

戦前の津島は機帆船を用いた北九州との石炭の輸送などが行われ、最盛期には700人を越える人口を誇っていました。しかし、太平洋戦争の勃発により、島は軍事輸送に従事させられ、多くの住民が南洋で戦争に巻き込まれました。戦後は頼母子講を活用して復活を試みましたが、経済の変化により多くの人が今治に移住し、島は徐々に寂れていきました。

大正時代にはイチジクやビワの栽培が行われましたが、戦後はこれらの作物がみかん園に転換されました。イチジクは今でも手間がかからない作物として栽培されています。また、一時期には乳牛の飼育も行われていました。

社会と現状

現在の津島は限界集落となっており、集落や港は主に島の北側に位置しています。かんきつ類などの農業が中心で、生産活動が行われていますが、2018年の時点で人口は約10人という非常に少ない状況です。島内には小中学校もなく、教育環境は限られています。

交通アクセス

津島へのアクセスは、大島の幸港との間に定期船、また今治港との間にも定期船が運航されています。これらの交通手段によって、津島と本土との繋がりが維持されています。海運という歴史を持つこの島は、穏やかな自然環境や地域コミュニティを大切にしながら、静かに時を刻んでいます。

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