津島隆一

津島 隆一

1948年9月21日生まれ。長年にわたり東京都の職員として奉職し、都市行政の様々な分野で経験を積んだ後、経営難に直面していた新銀行東京の立て直しに手腕を振るった人物です。

公務員としてのキャリア

東北大学法学部を卒業後、1972年に東京都庁に入庁しました。キャリアの初期には財務局に配属され、都の財政運営に関わる業務に従事しました。その後、都庁内の様々な部署を異動しながら昇進を重ねていきます。

1999年には住宅局において管理制度の改善を担当する部長職に就き、翌2000年には港湾局の開発部長として東京港の整備や振興に関する業務を指揮しました。さらに2001年には同局の総務部長に異動し、組織運営の中枢を担うことになります。

2003年には出納長室の理事を務め、都の会計事務を統括する立場となりました。この頃から、東京都が設立を計画していた新たな銀行、新銀行東京に関する準備作業に深く関与するようになります。2004年には東京都新銀行設立本部長として、銀行設立に向けた具体的な準備作業の責任者となりました。そして2005年には、港湾局長として再び重要ポストに就任しました。

新銀行東京の再建

2007年、津島氏は東京都職員としてのキャリアから一歩踏み出し、大きな課題に挑むことになります。それは、多額の不良債権を抱え、経営危機に瀕していた新銀行東京の代表執行役に就任することでした。既に社長は不在という状況下での登板であり、その責任は重大でした。

就任後、同行は従業員による詐欺事件の発覚というさらなる危機に直面します。これを受け、津島氏は金融庁への業務改善計画の提出を求められ、同行の立て直しを本格的に開始しました。内部管理体制の抜本的な強化をはじめ、経営の効率化やリスク管理の徹底など、厳しい改革断行により、同行の経営再建に向けて尽力しました。

その後の活動と栄典

新銀行東京での役割を終えた後も、津島氏は民間企業の経営に関わりました。2009年には東京熱供給株式会社の代表取締役社長に就任し、エネルギー供給分野での経営経験を積みました。

2011年からはNTT都市開発株式会社に移り、特別参与として経営に参画します。翌2012年には同社の取締役に就任し、東海、中国、九州、北海道といった広範な地域の支店を担当しました。2013年には不動産投資推進部や特定の支店に加え、戦略プロジェクトも担当するなど、同社の多岐にわたる事業運営において重要な役割を果たしました。

長年の公務における功績や、その後の企業経営における貢献が認められ、2018年には瑞宝小綬章を受章しました。

津島氏は、東京都の行政運営から、経営危機に陥った金融機関の再建、そして多様な事業を展開する民間企業の経営まで、幅広い分野でその手腕を発揮しました。特に新銀行東京の代表執行役としての、困難な状況下での経営再建への取り組みは、彼のキャリアにおける特筆すべき業績と言えるでしょう。

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