津村重舎

津村重舎：実業家、政治家としての生涯

津村重舎（つむら じゅうしゃ）は、1871年（明治4年）に大和国（現在の奈良県）で生まれ、1941年（昭和16年）に没した日本の実業家、政治家です。廃藩置県直前の生まれであり、激動の時代を駆け抜けました。

実業家としての足跡

東京高等商業学校（現在の一橋大学）を中退後、1893年（明治26年）に津村順天堂（現在のツムラ及びバスクリンの前身）を創業しました。日本橋に店を構え、婦人薬「中将湯」の販売を開始。当時としては画期的な広告戦略を展開し、その手腕から「PRの天才」と呼ばれるようになりました。

具体的には、郵便報知新聞への広告掲載、日本初のガスイルミネーションを用いた看板の設置、アドバルーンの活用など、斬新なアイデアを次々と実現しました。これらの戦略は、津村順天堂の知名度を飛躍的に向上させ、事業拡大に大きく貢献しました。

津村重舎は、津村順天堂以外にも多くの企業の設立に関与しました。

1905年（明治38年）には、株式会社東亜公司（取締役、後に取締役社長）
1905年（明治38年）に、日本売薬株式会社（取締役）
1916年（大正5年）には、合資会社アーセミン商会（後の第一製薬、現・第一三共株式会社）（代表社員）などを設立しています。

その他にも、上海油脂工業株式会社の監査役、江東製薬株式会社の取締役社長、東京軽量器製作所の代表取締役、銚子醤油（現・ヒゲタ醤油）の監査役、株式会社加藤製作所の経営にも参画しました。また、学術雑誌「植物研究雑誌」の創刊、社団法人日本橋倶楽部の理事、日本広告倶楽部設立時の理事長を務めるなど、その活動は多岐にわたっています。

政治家としての活動

実業界での成功に加え、津村重舎は政治の世界でも活動しました。

1904年（明治37年）には、東京市会議員に選出
1918年（大正7年）には、東京市参事会員に就任しました。
1925年（大正14年）には、東京府多額納税者として貴族院多額納税者議員に互選され、研究会に所属し、政界でも存在感を示しました。

しかし、1936年（昭和11年）の二・二六事件の際には、反対演説を行ったことが原因で貴族院議員を辞任することになりました。

その他の情報

津村重舎は、津村順天堂の2代目社長である津村基太郎（2代目重舎襲名前の名）の父であり、津村敬天堂を設立した津村岩吉は実弟にあたります。また、実兄は信天堂山田安民薬房（現・ロート製薬）の創業者である山田安民です。

津村重舎は、山田家出身で、東京で遠縁の森田源右衛門の養子となり、後に養子縁組を解消。その後、叔父で養父である津村磯次郎の養子となり、津村姓を名乗りました。

晩年と死

津村重舎は、1941年（昭和16年）4月28日に亡くなり、その墓所は京橋区築地の築地本願寺子院の法重寺にあります。

津村重舎は、実業家としてだけでなく、政治家、文化人としても多大な影響を与えた人物でした。彼の革新的な発想と行動力は、今日のビジネスの世界においても学ぶべき点が多いと言えるでしょう。

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

外部リンク

* ツムラ 会社案内 歴史

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