津波避難施設

津波避難施設とは

津波避難施設は、津波の襲来から人命を守るために人為的に整備された施設です。陸域に設置され、土地や土地に定着するものを対象としています。

概要

津波はその規模や地形条件により、海岸から内陸深くまで遡上します。そのため、津波浸水想定区域を設定し、区域外への避難が基本となります。しかし、避難が困難な場合、浸水想定区域内や隣接地に、基準水位以上の高さを持つ津波避難施設が必要となります。

津波避難施設には、高台や盛土、津波避難ビル等があり、避難のための階段やスロープなども含まれます。特に浸水想定区域内の建物を活用したものを「津波避難ビル等」と呼びます。

津波避難の特徴

津波避難は、立ち退き避難を基本としつつ、困難な場合は津波避難施設への垂直避難が特徴です。安全な場所に留まる「屋内安全確保」も選択肢の一つです。

津波避難施設の種類

高台や盛土

浸水想定区域に隣接、または囲まれた基準水位以上の高さを持つ土地です。人工的に造成されたものや、自然地形を利用したものがあります。

津波避難ビル

浸水想定区域内にある、津波避難を目的とした建築物です。屋上や外廊下などを避難スペースとし、階段やスロープでアクセスします。内閣府の指針では、新耐震基準を満たす鉄筋コンクリート造などが推奨されています。

複合施設

平時は公共施設や商業施設として利用され、災害時には避難施設として機能するものです。観光施設と避難施設を兼ね備えた複合施設も存在します。

津波避難タワー

浸水想定区域内にある、建築物以外の工作物です。柱と梁で構成された鉄骨造が多く、上部に避難スペースと階段・スロープを備えます。道路上に建設されるケースも増えています。

津波避難シェルター

津波到達までの避難時間がない場合に、緊急的に津波から逃れるための施設です。トンネル状のシェルターなどが検討されています。

各機関の定義

内閣府

津波浸水予想地域内の一時的・緊急避難施設を指します。耐震性や津波に対する構造安全性が求められます。

国土交通省港湾局

最大クラスの津波を対象とした「A種」と、発生頻度の高い津波を対象とした「B種」に分類されます。B種は最大クラスの津波時には「津波緊急退避用施設」となります。

関係法令

建築基準法：建築物の定義や構造に関する基準を定めています。
道路法：道路上に津波避難タワーを設置する際の許可について規定しています。
津波防災地域づくりに関する法律：指定避難施設の要件を定めています。

事例

錦タワー（三重県大紀町）：収容避難場所・展望台・防災資料館。
望海橋（北海道奥尻町）：漁港施設として整備された人工地盤。
畔名地区津波避難タワー（三重県志摩市）：鉄骨造タワー。
福良港津波防災ステーション（兵庫県南あわじ市）：避難施設と防災機能を備えた複合施設。
御前崎公民館退避櫓（静岡県御前崎市）：鉄骨造タワー。
吉田町津波避難タワー（静岡県吉田町）：道路上の横断歩道橋を兼ねたタワー。
掛川津波避難タワー（静岡県掛川市）：PC造のタワー。
湊命山（静岡県袋井市）：人工高台。
紀宝町防災拠点施設（三重県紀宝町）：防災拠点。
津波避難用築山（静岡県沼津市）：築山型の避難施設。
津波避難シェルター（高知県室戸市）：横穴式のトンネル型シェルター。
命山（静岡県静岡市）：津波避難施設として整備された高台。
中野五丁目津波避難タワー（宮城県仙台市）：屋外階段、スロープ付きのタワー。
佐賀地区津波避難タワー（高知県黒潮町）：日本最大級の高さのタワー。
テラッセ オレンジ トイ（静岡県伊豆市）：観光施設を兼ねた複合施設。

メーカー・設計

複数の企業が津波避難タワーの製造や、シェルターの設計を行っています。

まとめ

津波避難施設は、多様な形態で整備され、地域住民の安全確保に重要な役割を果たしています。平時と災害時の両面で活用される施設もあり、地域防災の拠点としての機能も期待されています。

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