津田信益

津田 信益の生涯

津田信益（つだ のぶます）は、江戸時代初期に生きた旗本であり、越前北ノ庄藩（現在の福井県）の士族です。彼は尾張犬山城主の織田信清の子どもで、織田信長の従甥でもありました。信益の人生は、彼の家族や周囲の影響を受けながら展開していきました。

信益の早年と歴史的背景

信益の父、信清は生涯にわたり信長に対抗したため、その影響を受けた信益も複雑な立場にありました。しかし、信益は父とは異なり、信長からの罪を許され、1581年には天正9年の馬揃に参加することでその名を知られるようになります。

また、天正10年（1582年）には本能寺の変の直前に、安土城の留守を預かる役割を果たしました。ここで蒲生賢秀らと共に名を連ねたことは、信益にとって重要な出来事となりました。

その後、信益は豊臣秀吉に仕官し、茶道を通じて片桐且元の元で修行を行ったという伝承も残っています。晩年は越前北ノ庄藩に仕官し、政権政務に関与しました。また、将軍家との連絡役としても活動していたようです。

信益の家族と子孫

信益には二人の娘と複数の息子がいました。まず、長女である奈和（長寿院）は結城秀康の側室として知られ、北ノ庄藩の屋敷で越前大野藩主となる松平直良を出産しました。残念ながら彼女は1609年に亡くなりました。

次女の於佐井（貞正院）は、徳川家康に采配されて疎遠の娘東福門院に仕えた後、徳川義直の側室となります。義直の正室だった浅野氏が亡くなった後、彼女は後妻として義直の正室となり、娘の京姫をもうけました。彼女は容姿と才知に優れていたという記録が残されています。

信益の子息の中では、長男の信総と三男の信勝が特に注目されます。信総は九郎次郎という名前で知られ、三男信勝は直良に仕官。彼は直良の勧めによって織田の姓に復姓し、最終的に大野藩及び後に明石藩の家老織田家を創始しました。また、信総の子・直信は尾張藩士津田家の祖とされています。

信益家系の中には、結城秀康の側室として仕えていた片桐氏の娘がいました。彼女は津田の推薦で越前松平家の松平光通の側室となり、光通の唯一の男子を産み出しました。しかし、この男子は外的な事情から福井藩を出奔することになり、道を選び直良を頼る流れがあったとされています。その背景には、片桐氏出身の母親がかつて織田氏との関係を持っていたことが影響していると見られています。

出自の説

津田信益は、織田信長の嫡男信忠の次男、すなわち信長の孫に当たる織田秀則の後身であるとの説があります。この説によると、関ヶ原の戦いで敗北した秀則は兄と別れ、結城秀康に匿われ、さらにその後に「津田」という姓を名乗ることになります。こうして彼は歴史の流れの中に身を置くことになりました。

このように、津田信益は周囲との関係を通じて、派生的な家系とその後の歴史の中で重要な役割を果たしました。彼の生涯は、江戸時代初期の混沌とした時代背景と、それにおける家族の運命を物語っています。

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