津田孝

津田 孝の生涯と業績

概要

津田 孝（つだ たかし、1930年 - 2014年）は、日本の著名な文芸評論家であり、本名は孝獅（たかし）です。彼は主に中国文学を学び、批評の世界でその名を馳せました。大阪で育った津田は、東京大学で中国文学を専攻しました。彼の学び舎での経験は、その後の評論活動に大きな影響を与えました。

学生時代と結婚

津田は大学卒業後、徳永直の次女と結婚します。この結婚は、彼の文学的活動に新たな視点をもたらす重要な出来事でした。結婚を通じて、津田は文芸評論の世界でより深く影響力を持つことになります。

批評活動の始まり

彼の批評活動は1950年代の終わりに始まり、徳永直の没後に出版された著作『一つの歴史』において解説や年譜を手掛けたことが重要な起点となりました。津田はリアリズム研究会に属し、プロレタリア文学と同時代の作品について活発に評論を行いました。この時期の彼の活動は、社会的なテーマへの取り組みが顕著でした。

新日本文学会とその対立

1960年代に入ると、彼の活動は日本共産党が発行する雑誌『文化評論』を中心に展開されます。津田が新日本文学会に入会した際には、共産党と新日本文学会の対立が深まっていたため、彼の入会を不思議に思う声もありました。その後も他のメンバーとの意見の相違があり、1964年には大会後の運動方針に対する批判から、新日本文学会を除籍されました。

日本民主主義文学同盟の結成

1965年、津田は江口渙や霜多正次とともに、日本民主主義文学同盟を設立します。この組織は、民主主義文学の発展を目指すものであり、津田はその核心的な評論家として位置付けられました。彼は日本共産党の中央委員も務めており、批判的な視点から那些からの反発にも直面しました。

受賞歴と著作

彼の業績は高く評価され、1976年には『現代の政治と作家たち』で多喜二・百合子賞を受賞します。津田は小林多喜二や宮本百合子の全集編纂にも関与し、特に多喜二の全集の月報に載せた解説を『小林多喜二の世界』という著作としてまとめるなど、彼の文芸評論は後世に多大な影響を与えました。

晩年と退会

2001年頃からは健康上の理由で執筆活動を休止し、日本民主主義文学会からも退会します。彼の死去は2014年に確認され、翌年には『民主文学』誌にてその訃報が報じられました。彼の死は、日本文学の貴重な一翼を失うことを意味しました。

著作リスト

- 日本文学の動向と展望（太郎書店、1966年）
- 民主主義文学論（新日本出版社、1966年）
- 宮本百合子と今野大力（新日本出版社、1996年）

津田の業績は今なお、文学界における重要な評価を受けています。彼の評論や著作は、これからの作家や研究者たちにとってもおおいに参考にされることでしょう。

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