津田宗及

津田 宗及 (つだ そうぎゅう)

津田宗及は安土桃山時代の堺で活躍した商人であり茶人です。天王寺屋宗及とも呼ばれ、名は助五郎、号は天信、または幽更斎として知られています。彼は千利休、今井宗久と共に「茶湯の天下三宗匠」と称され、その茶道への影響力は非常に大きいものでした。

経歴について

津田宗及は、豪商である天王寺屋の津田宗達の子として堺南荘に生まれました。父である宗達から茶道を学び、また大徳寺の住持である大林宗套からは禅を教わりました。こうした教えから、後に天信という号を与えられます。

堺の大小路に構えた天王寺屋は、その時代の有力商人の一つで、宗及はさまざまな商売を展開していました。永禄年間には石山本願寺と関わりがあり、さらに三好政康と結びつくなど、豪商としての地位を築いていました。しかし、その後台頭してきた織田信長との関係が強まります。

元亀3年（1572年）11月、宗及は信長主催の茶会に参加し、岐阜城で名器を拝見する機会を得ると、信長からの歓待を受けるほどに信頼を得るようになりました。天正6年（1578年）には実際に信長が自宅を訪れ、宗及の影響力が示されます。

その後も明智光秀との茶会にも参加し、豊臣秀吉からも信任を受けました。秀吉の茶湯者八人衆の一員として、今井宗久、千利休と共に知行を授けられ、重要な茶会にも参加しました。天正15年（1587年）には豊臣秀吉が北野天満宮で大茶湯を行い、宗及もそこで茶会を開きました。

死亡とその後の影響

天正19年（1591年）、津田宗及はこの世を去ります。その墓は堺市の南宗寺にあります。

書き残した記録

宗及は数多くの茶会の記録を残しました。特に『宗及茶湯日記他会記』（1565年-1587年）や『宗及茶湯日記自会記』などは、彼の茶道に関する貴重な資料であり、天王寺屋の宗達、宗凡が記録したものと共に『天王寺屋会記』と称されています。これにより、当時の武将たちとの関係や歴史的な出来事を知る手掛かりが得られます。

さらに、宗及の子供たちや娘もその後に続き、茶道や医学など、多彩な分野で活躍しました。特に津田宗凡は『天王寺屋会記』を執筆し、大徳寺の156世住持である江月宗玩もその名の通り重要な役割を果たしました。

演じられた津田宗及

津田宗及の生涯は多くのメディアでも取り上げられています。NHKの大河ドラマ『黄金の日日』（1978年）、『おんな太閤記』（1981年）、『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』（2002年）、『利休にたずねよ』（2013年）、さらには『どうする家康』（2023年）などで、彼の人物像が俳優たちによって演じられました。

このように津田宗及は、戦国時代の商業と文化において重要な役割を果たした人物であり、今なおその影響を感じることができます。

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