津軽要塞

津軽要塞：津軽海峡防衛の要

津軽要塞は、津軽海峡を防衛するために設置された大日本帝国陸軍の要塞です。その前身である函館要塞を含め、その概要、歴史、そして現代に残る遺構について解説します。

函館要塞：前身としての役割

函館要塞は、ロシア帝国を仮想敵国とし、1896年（明治29年）頃から函館港の軍事的価値と北海道と本土を結ぶ交通路としての重要性に着目し、設置が計画されました。要塞は、陸軍の砲台や保塁、海軍の機雷で構成され、1897年（明治30年）に函館要塞砲兵大隊が編成されました。

日露戦争（1904年～1905年）では動員されたものの、ロシア艦隊の挑発を阻止できず、北海道が一時的に孤立する事態も発生しました。1919年（大正8年）には要塞整理案により廃止されています。

函館要塞の構成

陸軍施設: 千畳敷砲台、御殿山第一・第二砲台、薬師山砲台、立待保塁
海軍施設: 機雷

函館要塞地帯近傍の測量等制限区域

陸軍省告示により、函館区や亀田郡など広範囲が制限区域に指定されました。

津軽要塞：新たな海峡防衛拠点

函館要塞の廃止後、津軽海峡の防備を強化するため、新たに津軽要塞が設置されました。旧函館要塞の備砲が撤去され、1916年（大正5年）には御殿山第一砲台と薬師山砲台が廃止されました。1927年（昭和2年）には旧函館要塞を吸収し、解体された戦艦伊吹の主砲を転用するなど、津軽海峡の封鎖能力を高めました。

新設砲台への軍事物資や兵員輸送のため、戸井線や大間線といった鉄道建設も進められました。

太平洋戦争中には北部軍、後に第5方面軍に編入され、室蘭の防備も担当しました。しかし、1945年（昭和20年）の室蘭艦砲射撃では、射程の関係で反撃できず、北海道空襲では対空戦闘を実施しました。

津軽要塞の構成

竜飛崎砲台
汐首岬砲台
大間崎砲台

戦後の遺構破壊と再評価

終戦後、アメリカ軍により要塞施設の解体が行われ、金属部品は払い下げられました。高度経済成長期には、道路建設や火災防止のために遺構の一部が破壊されました。しかし、1946年（昭和21年）に函館山が一般開放され、2001年（平成13年）には函館山の要塞跡が北海道遺産に選定されました。現在では、函館市が遺構の測量調査や劣化診断を実施し、保存に努めています。

函館山ロープウェイ山頂駅や放送局の送信施設は、御殿山第一砲台跡に建設されています。

年表

1896年（明治29年）頃：函館要塞の設置が計画
1897年（明治30年）11月：函館要塞砲兵大隊が編成
1904年（明治37年）2月8日：日露戦争開戦
1918年（大正8年）：要塞整理案により函館要塞を廃止、津軽要塞を設置
1927年（昭和2年）：旧函館要塞は津軽要塞に吸収
1945年（昭和20年）8月15日：太平洋戦争終戦
1945年（昭和20年）10月4日：アメリカ軍函館上陸、施設を爆破解体
2001年（平成13年）10月：函館山の要塞跡が北海道遺産に選定

施設

函館山

千畳敷戦闘指令所
千畳敷第一・第二砲台
御殿山第一・第二砲台
薬師山砲台
立待保塁
観測所
発電所
電灯所
水元谷弾薬本庫等施設群

亀田半島

汐首岬第1・第2砲台
砂原砲台
恵山砲台
瀬田来砲台

下北半島

大間崎砲台
尻屋崎砲台

津軽半島

竜飛崎砲台

松前半島

白神崎砲台

司令官

函館要塞司令官

歴代の司令官名簿

津軽要塞司令官

歴代の司令官名簿

隷下部隊

函館要塞隷下部隊

津軽要塞隷下部隊

まとめ

津軽要塞は、日本の防衛史において重要な役割を果たした施設です。その遺構は、戦争の記憶を伝える貴重な文化遺産として、現在も保存・活用されています。函館を訪れる際には、ぜひこれらの史跡を巡り、歴史に思いを馳せてみてください。

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