洪大容

洪大容について

洪大容（ほん だいよう、1731年5月12日 - 1783年11月17日）は、李氏朝鮮時代の哲学者、天文学者、数学者として知られています。彼は南陽洪氏に本貫を持つ両班の家に生まれました。彼の字は得保で、号は湛軒です。

学問と研究

洪大容はその学問において、当時の優れた学者である金元行に師事しました。彼は特に、朴趾源らとともに北学派の指導的存在として活動し、天文学においては卓越した知識を有しました。彼は自宅に「籠水閣」という観測所を設け、実際に天体観測を行いました。このような取り組みにより、洪は天文学の発展に寄与しました。

彼はまた、35歳の時に書状官に任命された叔父に従い北京を訪れ、清朝のドイツ人天文学者である欽天監正や中国の天文学者たちと対等に議論を行いました。これにより彼は国際的にもその名を知られる存在となりました。

著作と哲学

洪大容は著書『広山問答』や『医巫閭山問答』を執筆しました。彼の著作では、地球自転説を提唱し、これは朝鮮においては半世紀前に金錫文によって初めて言及されたものでした。さらに、彼は宇宙無限論を展開し、当時の天文学の理解を深めるために努力しました。

また、彼は玄琴の達人でもあり、音楽に関しても豊かな知識と技術を持っていました。学問だけでなく、芸術にも寄与したことが彼の特徴です。

政治活動と後半生

洪大容の生涯では、学問と政治の両方で貢献しており、帰国後には司憲府の監察や慶尚道栄州郡の郡守などを歴任しました。彼の政治的活動も、彼の思想や学問的研究に影響を与えたことでしょう。

彼は1783年11月17日に52歳でこの世を去りましたが、その業績は今日に至るまで評価され続けています。

参考文献

洪大容に関する著作や研究は多岐にわたり、以下の資料が特に重要です。

• - 洪大容著『乾浄筆譚　朝鮮燕行使の北京筆談録（夫馬進訳注）』平凡社東洋文庫 全2巻（2016-2017年）
• - 金泰俊『虚学から実学へ　十八世紀朝鮮知識人洪大容の北京旅行』東京大学出版会（1988年）
• - 世界大百科事典（平凡社、2007年）
• - 金素天『韓国史のなかの100人』明石書店（2002年）

洪大容の思想と業績は、李氏朝鮮時代の知識人にとって示唆に富んだものとして位置付けられています。

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