洲埼型給油艦

洲埼型給油艦概要

洲埼型給油艦（すのさきがたきゅうゆかん）は、日本海軍が運用した給油艦で、特に空母への航空機用軽質油（ガソリン）の補給を目的として設計されました。この艦型は、昭和14年度の計画に基づき、4,000トン型の航空母艦随伴用として設計され、同型艦は2隻存在します。

計画と設計

最初の艦は1939年に計画され、その設計には航空機用のガソリンの給油のみならず、爆弾や魚雷、弾薬、または食料と真水の輸送も可能にすることが求められました。このような多目的な設計により、平時には航空基地への燃料輸送にも対応できるような機能が求められました。計画番号はJ29で、当初は軽質油1,000kL（730トン）と重油1,000トンの積載を考えていましたが、最終的には軽質油の積載量が増加し、重油の積載は見送られました。それに伴い機関もディーゼルに変更され、艦型は足摺型と似た形状となりましたが、搭載量は足摺型の半分程度になりました。

艦型の特徴

艦型は船首楼型で、前方に艦橋、さらに後方には前部マストが設置されました。この設計により、浮船を2隻搭載できるようになっており、前部マストには頑丈な3脚のマストが装備され、20トンの大型クレーンを使って揚げ降ろしが可能でした。また、後部には爆弾搭載用のデリック・ポストと5トンのデリックが設置され、効率的な補給作業が行えるよう工夫されていました。

武装としては、艦の前後に12cm単装高角砲がそれぞれ1基、中央部の上構には25mm連装機銃が1基ずつ装備されており、これにより防空能力も一定程度確保されています。艦の搭載量は、軽質油が1,080トン、航空機用潤滑油173トン、弾薬は爆弾の時205トン、魚雷の時192トンなど、多岐にわたるものでした。具体的には、爆弾が800kg57個、250kg229個、60kg363個を搭載する能力があり、魚雷の時は九一式魚雷を27本と、各種の爆弾を搭載することができました。

運用と艦歴

洲埼型給油艦のうち、最初の艦である「洲埼」は1943年に完成し、以降は軽質油の輸送を主な任務として活躍しました。1940年度の計画では、さらに4隻の追加建造が決定しましたが、実際に竣工したのは「高崎」1隻のみで、残りの3隻は建造中止となりました。

「洲埼」の建造後は、計画に基づく機動部隊への随伴任務は果たせなかったものの、燃料輸送という重要な役割に従事しました。

同型艦の詳細

• - 洲埼（すのさき） II: 1943年5月15日に竣工。千葉県房総半島の洲埼にちなんで名付けられましたが、1944年には爆撃を受け火災が発生、その後に擱座放棄されました。
• - 高崎（たかさき） III: 1943年9月2日に竣工し、対馬の高崎鼻に因んで名付けられました。1944年には米潜水艦による攻撃を受けて沈没しました。

当初の計画では、234号艦から236号艦までの3隻が建造予定でしたが、これらは実現しませんでした。計画された艦名は剣埼（つるぎざき）III、神埼（こうさき）、聖埼（ひじりざき）、または豊埼（とよさき）でした。

参考文献

• - 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝 全八六〇余隻の栄光と悲劇』光人社、1993年。
• - 『世界の艦船増刊第47集 日本海軍特務艦船史』、海人社、1997年。
• - (社)日本造船学会 編『昭和造船史(第1巻)』 原書房、1981年。
• - 防衛庁防衛研修所戦史室『海軍軍戦備＜1＞ 昭和十六年十一月まで』、朝雲新聞社、1969年。
• - 牧野茂、福井静夫 編『海軍造船技術概要』日刊新聞社、1987年。
• - 雑誌「丸」編集部 編『写真 日本の軍艦第13巻 小艦艇I』光人社、1990年。

以上が洲埼型給油艦に関する詳細な情報です。

もう一度検索