洲崎大神

洲崎大神：鎌倉幕府と海と繋がる歴史

神奈川県横浜市神奈川区に位置する洲崎大神は、800年以上の歴史を誇る神社です。その起源は、鎌倉幕府の初代将軍、源頼朝公に遡ります。1191年（建久2年）、頼朝公は千葉県館山市にある安房神社から神霊を勧請し、この地に新たな社を創建しました。創建当初から鎌倉幕府の庇護を受け、重要な役割を担っていたと考えられています。

洲崎大神の大きな特徴として、かつては社殿のすぐ前に海が広がっていた点が挙げられます。そのため、古くから「御浜下祭」と呼ばれる独特の祭事が行われていました。これは、神輿を海まで運び出し、海を通じて安房神社の神霊と交わる神聖な儀式です。現在では埋め立てによって社前の海は失われてしまいましたが、この伝統は、神社の歴史と深い繋がりを示す貴重なものです。

明治時代には、明治天皇の東京行幸の際に、洲崎大神の境内に内侍所奉安殿が設けられました。これは、天皇の行幸に際して特別な祈祷や祭祀が行われたことを示しており、洲崎大神が朝廷からも重視されていたことを物語っています。この出来事は、神社の歴史における重要な転換点と言えるでしょう。

現在、洲崎大神は京急神奈川駅から徒歩4分の場所にあり、多くの人々が訪れる信仰の場となっています。境内は静かで落ち着いた雰囲気に包まれ、歴史の重みを感じさせる空間です。また、神社の裏山には権現山があり、戦国時代には権現山城が築かれていました。現在は幸ヶ谷公園や横浜市立幸ヶ谷小学校として利用されていますが、その歴史は洲崎大神の歴史と深く関わっていると言えるでしょう。

洲崎大神は、鎌倉幕府の創建、海に面した立地による独特の祭事、明治天皇の行幸といった様々な歴史的出来事を背景に、現在も人々の信仰を集める神社です。その歴史と文化を学ぶことで、横浜の歴史の一端に触れることができるでしょう。 神社を訪れ、静寂の中で歴史の息吹を感じ取ってみてください。その荘厳な雰囲気と、長く続く信仰の物語にきっと心を動かされることでしょう。

アクセス

京急本線神奈川駅より徒歩4分

周辺情報

権現山：洲崎大神の裏山。戦国時代の城跡で現在は公園と小学校になっています。

参考文献

* 神奈川県高等学校教科研究会社会科部会歴史分科会 編『神奈川県の歴史散歩 上（歴史散歩14） 川崎・横浜・北相模・三浦半島』山川出版社、2005年

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