洲崎寺

眺海山 円通院 洲崎寺：歴史と文化が息づく霊場

香川県高松市牟礼町に位置する眺海山円通院洲崎寺は、高野山真言宗に属する寺院です。四国八十八箇所番外札所、さぬき三十三観音霊場第二番札所として、古くから信仰を集めてきました。

寺伝によれば、弘法大師空海によって大同年間（806年～810年）に創建されたと伝えられています。創建以来、幾多の変遷を辿り、歴史の波に翻弄されてきました。源平合戦では、源氏方の兵士が負傷してこの寺に運ばれたとされ、激化する戦火によって焼亡する悲劇に見舞われました。

特に、源義経の身代わりとなって戦死した佐藤継信との深い縁が有名です。継信の遺骸は本堂の扉に安置され、源氏の本陣があった瓜生ヶ丘まで運ばれたと伝えられています。このことから、継信の菩提寺として崇められ、毎年3月19日には慰霊法要が営まれています。また、義経が焼亡した寺院を再建したという伝承も残っており、境内には義経の愛馬・大夫黒の墓も存在します。

戦国時代には、土佐の長宗我部元親の軍勢による侵攻を受け、再び焼失し荒廃しました。その後、江戸時代中期の元禄12年（1699年）に再興され、現在に至っています。

洲崎寺の境内には、歴史を感じさせる建造物や史跡が多く点在しています。江戸時代初期、四国八十八箇所巡礼の普及に大きく貢献し、「遍路の父」と呼ばれた真念の墓は、元々は牟礼町塩屋南三昧の共同墓地にありましたが、昭和55年（1980年）に洲崎寺に移設されました。

近年では、平成17年（2005年）から始まった「むれ源平石あかりロード」において、境内は落語会やコンサートなどのイベント会場としても活用されています。また、境内には香川県より保存木に指定されているイチョウの大木が力強くそびえ立ち、訪れる人々を癒やしています。

洲崎寺には、高松市指定有形文化財である「御城俊禅蒐集古瓦」も収蔵されています。これは、大正から昭和にかけて当寺の住職であった御城俊禅が収集した古代から中世にかけての軒瓦で、300点以上にのぼる貴重なコレクションです。それぞれの瓦には出土地と出土年月日が墨書されており、歴史研究の上でも重要な資料となっています。昭和51年（1976年）4月1日に指定を受けました。

アクセスは、高松琴平電気鉄道志度線八栗駅から徒歩約10分と便利です。さぬき三十三観音霊場では、東福寺、圓通寺と隣接しており、霊場巡りの拠点としても最適な場所です。歴史、文化、自然に触れ合える洲崎寺は、香川県を訪れた際にはぜひ足を運んでいただきたい場所です。

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