浄閑寺

浄閑寺について

浄閑寺は、東京都荒川区南千住に位置する浄土宗の寺院です。山号は栄法山といい、地元では「三ノ輪の浄閑寺」としても親しまれています。この寺院は、かつて近隣にあった吉原遊廓との深い関わりから、遊女の投げ込み寺としても知られています。

歴史

浄閑寺は、1655年に創建されました。これは、吉原遊廓が誕生する2年前のことです。寺の公式ウェブサイトによると、浄閑寺が投込寺と呼ばれるようになったのは、1855年の安政の大地震で多数の遊女が亡くなった際、この寺に投げ込むように葬られたことがきっかけとされています。明治から昭和にかけての川柳作家、花又花酔の句「生れては苦界 死しては浄閑寺」でも、その歴史が偲ばれます。

しかし、「病気などで亡くなった遊女は『～売女』という戒名で文字通り投げ込まれた」という説は、史実とは異なるようです。近年の研究では、「売女」の戒名が与えられたのは、心中、枕荒らし、起請文乱発、足抜け、廓内での密通、阿片喫引など、吉原の掟を破った者に限られていたことが明らかになっています。これらの遊女は、素裸にされ、荒菰に包まれた上で寺に投げ込まれたとされています。これは、「人間として葬ると祟るので、犬や猫のように扱い畜生道に落とす」という考えに基づいていたとされています。

史跡

浄閑寺には、以下のような史跡があります。

新吉原総霊塔: 関東大震災や東京大空襲で亡くなった遊女も祀られています。
永井荷風文学碑・筆塚: 作家、永井荷風を記念した文学碑と筆塚があります。
三遊亭歌笑塚: 落語家、三遊亭歌笑の塚です。
侠客濡髪長五郎墓: 江戸時代の侠客、濡髪長五郎の墓があります。
本庄兄弟首洗い井戸並びに首塚: 本庄兄弟の首を洗った井戸と、その首を埋葬したとされる塚があります。
新比翼塚: 男女の愛を象徴する塚です。
若紫墓: 明治時代に吉原随一と言われた遊女「若紫」こと勝田信子の墓があります。

行事

浄閑寺では、毎年4月30日に、永井荷風を偲ぶ「荷風忌」が執り行われています。

所在地と交通アクセス

所在地は、東京都荒川区南千住2-1-12です。公共交通機関を利用する場合、以下の駅が便利です。

日比谷線三ノ輪駅より徒歩約2分
東京さくらトラム三ノ輪橋停留場より徒歩約4分
南千住駅より徒歩約10分

関連情報

浄閑寺の住職であった岩野真雄（1893年 - 1968年）は、仏教専門出版社「大東出版社」を創設し、『国訳一切経』の翻訳刊行に尽力しました。彼の没後、妻の喜久代と長女の文世がその遺志を継ぎ、1988年に全255巻が完結しました。

外部リンク

浄閑寺公式サイト
荒川区公式ホームページへのリンク'>荒川区公式ホームページ - 浄閑寺

この寺院は、歴史的な背景と多くの史跡から、訪れる人々に深い印象を与え続けています。

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