浅井清

浅井清（あさい きよし）は、1895年（明治28年）10月24日に兵庫県神戸市で生まれ、1979年（昭和54年）8月14日に生涯を閉じました。彼は行政法を専門とする著名な法学者であり、その業績は日本の法学界に大きな足跡を残しています。

浅井は、1919年（大正8年）に慶應義塾大学法学部を卒業後、1925年（大正14年）から1928年（昭和3年）にかけてヨーロッパに留学し、法学の研究を深めました。帰国後の1929年（昭和4年）には慶應義塾大学法学部の教授に就任し、憲法や行政法を専門として教鞭を執りました。この時期、彼はハンス・ケルゼンの影響を受け、天皇機関説を主張したことでも知られています。

1946年（昭和21年）7月19日、浅井は貴族院議員に勅選され、交友倶楽部に所属しました。彼は1947年（昭和22年）5月2日の貴族院廃止までその職を務め、日本の政治にも関与しました。第二次世界大戦後の混乱期において、1948年（昭和23年）にはGHQの登用方針の下、臨時人事委員会の委員長に就任し、後に委員会が人事院に改組されると初代総裁となりました。これにより、戦後の日本の人事制度の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

浅井は、その後も民主主義研究会の会長や国際基督教大学、駒澤大学の教授を歴任し、教育と研究に尽力しました。また、新憲法の普及にも積極的に取り組み、『あたらしい憲法のはなし』の編纂の中心メンバーとして活躍しました。

彼の著作は、法学研究において重要な文献として評価されています。主な著書には、以下のものがあります。

『憲法学概論』（高原書店、1928年）
『近代独逸憲法史』（慶応義塾出版局、1928年）
『日本行政法総論』（巌松堂書店、1932年）
『明治維新と郡県思想』（巌松堂書店、1939年）
『元老院の憲法編纂顛末』（巌松堂書店、1946年）
『新憲法と内閣』（国立書院、1947年）
『国家公務員法精義』（学陽書房、1951年）
『明治立憲思想史におけるイギリス国会制度の影響』（有信堂、1969年）

これらの著作は、彼の行政法研究における深い洞察と、日本の法制度への貢献を示すものです。

浅井清は、その卓越した学識と行動力で、日本の法学と行政の発展に多大な貢献を果たしました。彼の生涯は、日本の近代史における重要な一頁として、後世に語り継がれるべきでしょう。

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