浅利義遠

浅利義遠（あさり よしとお）は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて活躍した武将であり、浅利氏の祖として知られています。彼は、甲斐源氏の祖である源清光の十一男として生まれ、武田信義や安田義定といった兄たちと共に、源頼朝の挙兵に際して幕府軍に参加しました。

浅利氏は、甲斐国八代郡浅利郷を本拠地とする一族で、義遠自身もその地で育ちました。彼は弓の名手として名を馳せ、数々の戦でその腕前を披露しました。特に、壇ノ浦の戦いでは、その強弓で多くの敵を射抜き、戦局を大きく左右する活躍を見せました。また、奥州合戦においても、その武勇を発揮し、幕府軍の勝利に大きく貢献しました。

建仁元年（1201年）に起こった建仁の乱では、捕虜となった坂額御前の堂々とした態度に感銘を受け、彼女を妻として迎えたいと鎌倉幕府2代将軍・源頼家に申し出ます。頼家が謀反人の妻を望む理由を問うと、義遠は「彼女との間に武勇に秀でた男子を儲け、幕府や朝廷に忠義を尽くさせたい」と答えました。この答えに頼家は笑って許可を与えたと言われています。この逸話から、義遠の人間性や、武士としての志の高さが伺えます。

山梨県中央市大鳥居には、義遠が伽藍を再建し、寺領を寄進したと伝えられる大福寺があります。この寺には、県指定文化財となっている義遠の位牌や墓所があり、今もなお彼の足跡を偲ぶことができます。

また、山梨県豊富村（現・中央市）では、村おこしの一環として、浅利義遠（与一）にちなんだ「与一汁」という料理が考案されました。これはすいとんの一種であり、地元の特産品を使った滋味深い味わいが特徴です。この料理は、義遠が地元の人々に愛され、その功績が現代にも語り継がれている証と言えるでしょう。

浅利義遠は、武勇に優れ、その生き様は多くの人々に影響を与えました。彼の存在は、歴史の中に輝き続け、後世に語り継がれていくでしょう。

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