浅田満

浅田満：食肉業界の帝王、その光と影

浅田満（あさだ みつる）は、日本の食肉業界において「ドン」と称された実業家です。ハンナン（現ハニューフーズ）の会長として、その名を轟かせました。同時に、部落解放同盟の元地方役員という顔も持っていました。彼の生涯は、食肉ビジネスでの成功、数々の著名人との交流、そしてハンナン事件による逮捕など、まさに波乱万丈でした。

生い立ちと食肉業界への足跡

1938年、大阪府羽曳野市に生まれた浅田満は、幼い頃から家業の食肉卸「浅田商店」を手伝いました。中学校を中退後、大阪市内の食肉店で奉公。その後、日本ハム会長の大社義規に見出され、日本ハムの子会社である日本ミートの専務に就任します。1967年には、浅田商店を株式会社阪南畜産浅田商店へと商号変更し、取締役となりました。

30歳で大阪同和食肉事業共同組合の専務理事に就任。部落解放同盟の支援を受け、同和食肉を設立するなど、同和事業にも深く関わっていきます。

事件と逮捕

1971年には、映画上映を巡る事件で傷害事件を起こし逮捕されます。また、1986年には東京パブコ脱税事件に絡み、過去の修正申告で巨額の税金を納付するという異例の事態も起こりました。1987年には、輸入牛肉の割り当てを巡る贈賄容疑で逮捕。有罪判決を受けました。

ハンナン事件

2004年、浅田はBSEに関する国の補助金不正受給に関与したとして、詐欺罪などで逮捕されます。このハンナン事件は、政界、官界、財界、そして暴力団員など、幅広い人脈との繋がりを浮き彫りにしました。史上最高額となる20億円の保釈保証金を支払い保釈されたものの、裁判では一審、二審ともに懲役7年の実刑判決が言い渡されました。

最高裁判所での審理の結果、一部の罪について審理が差し戻され、最終的に懲役6年8月の実刑判決が確定。2016年に収監されました。

幅広い人脈と裏社会との繋がり

浅田満は、政界、財界、芸能界、そして裏社会に至るまで、幅広い人脈を持っていました。中川一郎、鈴木宗男、野中広務といった政治家から、松山千春、なべおさみといった芸能人、さらには山口組組長との親交も知られています。これらの人脈を駆使し、食肉ビジネスを拡大していきました。

豪邸と私生活

故郷である羽曳野市には、広大な敷地を持つ2軒の豪邸を所有していました。旧宅にはドラクロワなどの名画が飾られていたと言われています。

ハンナン事件後の影響

ハンナン事件は、部落問題にも波及し、サンデープロジェクト糾弾事件を引き起こしました。また、京都産業大学教授の灘本昌久は、この事件を「部落差別を悪用した犯罪」と批判しました。

まとめ

浅田満は、食肉業界の頂点に立ち、巨万の富を築き上げましたが、その裏には数々の事件や裏社会との繋がりがありました。ハンナン事件によってその光と影が白日の下に晒され、晩年は刑務所で過ごすこととなりました。彼の生涯は、日本の食肉業界、同和問題、そして裏社会との関係を考える上で、重要な教訓を含んでいます。

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