浜原ダム

浜原ダムについて

浜原ダム（はまはらダム）は、島根県邑智郡美郷町に位置し、一級河川江の川水系に存在するダムです。このダムは重力式コンクリートダムであり、その高さは19メートルです。浜原ダムは中国電力が管理している発電用ダムで、明塚（あかつか）発電所に水を供給し、最大で2万5,000キロワットの電力を生成することができます。

歴史的背景

浜原ダムの歴史は1951年にさかのぼります。この年、日本の電気事業は国営の日本発送電および配電会社の解体に伴い、9つの民間電力会社が設立されました。その中でも中国地方を営業エリアとする中国電力は、発足間もなくして「電源拡充5カ年計画」を策定し、電源開発の促進を急務としていました。

1951年11月、中国電力は浜原ダムの建設に着手しました。このダムは江の川の下流部に位置し、水を蓄えることで明塚発電所に供給します。建設作業は、効率化を図るために重機を活用しながら進められ、1953年11月に完成しました。これにより明塚発電所が運転を開始し、地域に電力を供給することが可能となりました。

構造と機能

浜原ダムは、堤頂長が361.4メートルあり、そのうち約半分を占める12門の水門が設けられています。この水門は洪水時に必要な水流を安全に流下させるために設計されており、ダムは江の川の上流からの膨大な流域面積の水を集めています。

江の川はその流域面積が3,870平方キロメートルに及ぶため、浜原ダムはその4分の3を超える3,000平方キロメートルから水を集約しなければなりません。ダムは1万立方メートル毎秒の洪水を想定して設計されており、そのための形状が採用されています。

周辺環境

ダムの上流地域は、島根県によって江川水系県立自然公園に指定されています。そのため、浜原ダムに貯えられた水を利用した湖は釣りのスポットとなっており、特にアユの火振り漁が有名です。この漁法は、ボートの上から水面を打って魚を追い出す伝統的な方法で、大正時代から続いています。浜原ダムの建設に伴い一時衰退したものの、最近では再び活気を取り戻しています。

また、浜原ダムの左岸を越えると明塚発電所があります。この発電所は、浜原ダムで蓄えた水を取水口から取り入れ、トンネルを通じて江の川へ送水して発電しています。トンネルは直径6.6メートルで、サージタンクの面積は700平方メートルにも及びます。

明塚発電所の最大出力は2万5,000キロワットで、これは当時の江の川水系水力発電所としては最大の出力でした。その後、1956年には上流の潮発電所が完成し、さらなる電力供給が可能になりました。

このように、浜原ダムは地域の電力供給において重要な役割を果たしており、その周囲は自然環境としても保護されています。

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