浦波 (初代神風型駆逐艦)

大日本帝国海軍 駆逐艦「浦波」（初代）

「浦波」は、大日本帝国海軍において神風型駆逐艦（初代）の30番艦として建造されました。同型艦の中でも後期のグループに属します。後に吹雪型駆逐艦にも同名の「浦波」が登場するため、この初代の艦は「浦波 (初代)」や「浦波I」などと呼んで区別されることがあります。

建造と就役

本艦の建造は、京都府にある舞鶴工廠にて進められました。1907年（明治40年）5月1日に起工され、順調に工事は進みました。同年7月9日には、「第30号駆逐艦」として正式に命名され、その名を与えられます。そして同年12月28日には無事に進水式を迎えました。翌年、1908年（明治41年）1月10日には、正式に駆逐艦として類別されます。その後、最終的な艤装工事や試験を経て、同年10月2日に全ての工程が完了し、晴れて竣工を迎え、帝国海軍の艦艇として就役しました。

駆逐艦としての活動

就役後、「浦波」は駆逐艦隊の一員として様々な任務に従事しました。その活動期間には、第一次世界大戦が含まれています。この大戦において、日本が参戦した際には、ドイツ帝国が拠点としていた中国の青島を攻略するための戦い、いわゆる青島の戦いに参加し、沿岸の警戒や支援といった役割を担いました。また、ロシア革命後のシベリア出兵に際しても出動しています。この時は、沿海州方面の沿岸警備活動にあたり、日本の権益保護や治安維持に貢献しました。

掃海艇への転換と改名

駆逐艦としての任務を終えた後、本艦はその役割を変えることになります。1924年（大正13年）12月1日、掃海艇に類別が変更され、新たな任務に就きました。掃海艇としての活動期間中、海軍の組織改編に伴い、本艦が属する掃海艇の型名にも変更が生じます。1928年（昭和3年）4月1日、掃海艇「潮」が除籍されたことに伴い、「浦波」がその型を代表する艦となり、「掃海艇 浦波型」が成立しました。

しかし、同年8月1日には、海軍が建造していた吹雪型駆逐艦の1隻（それまで「第44号駆逐艦」と呼ばれていた艦）が、正式に「浦波」と命名・改称されることになります。これにより、掃海艇として活動していた本艦と同名の艦が生まれることになりました。重複を避けるため、掃海艇「浦波」は同日付で「第八号掃海艇」と改称されました。これに合わせて、掃海艇の型名も「掃海艇 浦波型」から「第七号型掃海艇」へと改訂されました。本艦が歩んだ道のりは、海軍における艦艇の呼称や分類が時代とともに変化していったことを示す一例と言えるでしょう。

最終的な運命

第八号掃海艇として運用された期間を経て、本艦も艦齢を重ねていきます。1930年（昭和5年）6月1日、遂に海軍の艦籍から除かれ、除籍されました。しかし、即座に解体されるのではなく、雑役船として海軍内で引き続き利用されることになります。この時、曳船と交通船の機能を兼ね備えた「公称第758号」という名で新たな役割を与えられました。

その後、さらに月日が流れ、船体も老朽化が進んだため、1935年（昭和10年）10月25日には廃船と決定されました。そして、翌年の1936年（昭和11年）2月27日には、払い下げのために売却され、その艦としての波乱に満ちた生涯を完全に終えました。

本艦には就役から除籍されるまでの間に、歴代の駆逐艦長や掃海艇長が着任し、その指揮を執っています。彼らのもと、「浦波」（そして「第八号掃海艇」）は、明治、大正、昭和と三つの時代を跨ぎ、日本の近代海軍の一員として重要な役割を果たしたのです。

「浦波」（初代）の歴史は、日本の近代化の過程で海軍がどのように発展し、艦艇がその役割や名称を変化させていったかを示す貴重な記録と言えるでしょう。

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