浦添ようどれ

浦添ようどれ (浦添ようどれ)

浦添ようどれは、沖縄県浦添市にある琉球王国の王墓で、英祖王と尚寧王が葬られているとされています。この場所は、国指定の史跡である浦添城跡の一部を成す重要な文化遺産です。また、この王墓は「極楽陵」とも呼ばれています。

地理的位置と構造

浦添ようどれは、浦添城の北側にある石灰岩の丘陵の中腹、標高約115メートルの地点にあります。「ようどれ」という名は、夕凪を意味しています。王墓の構造は、琉球石灰岩を人工的に掘削した二つの横穴から構成されており、その前面には高い石垣があります。この墓庭は「一番庭（いちばんなー）」と呼ばれ、そこに位置する2つの墓室は、向かって右側の西室が英祖王陵、左側の東室が尚寧王陵とされています。

このうち、東室では尚寧王に関連する石厨子が発見されていますが、西室に確実に英祖王のものと確認できる証拠は見つかっていません。一番庭の西側には二番庭（にばんなー）があり、その二つの墓庭は「なーか御門（うじょう）」というアーチ門で接続されています。

また、浦添ようどれの入口は「暗しん御門」（くらしんうじょう）と呼ばれる、自然の岩盤を掘削した人工トンネルからアクセスできます。このトンネルを通って二番庭を経由し、一番庭に至るという構造になっています。

文化的な意義

浦添ようどれには「厨子」と呼ばれる蔵骨器が東西の墓室に10基あり、西室の3基と東室の4基は沖縄県に重要文化財として指定されています。東室の袖石積みには左右一対の石獅子がありましたが、沖縄戦の影響で右側の石獅子は失われてしまいました。また、戦前に存在していた石碑には、尚寧王が浦添から王位に就いたことや、英祖王の墓についての修理に関する内容が和文と漢文で記されていました。

歴史的背景

浦添ようどれは、英祖によって1261年に築かれ、尚寧王により1620年に改修が行われたと伝えられています。発掘調査の結果、最初に造営されたのは13世紀であり、これは『琉球国由来記』に記載されている情報と一致しています。最も有力な造営年は1273年とされており、その後、尚巴志王代や尚寧王代にわたって大規模な改修が行われました。特に、西室にある石厨子は第2期の改修時に木製から石製に変更されたと考えられ、これらは英祖王のためのものとみなされています。

戦後の修復と発掘調査

沖縄戦の際、浦添ようどれは大きな損傷を受けました。特に「暗しん御門」では岩の崩落が見られ、1955年には琉球政府による修復が行われました。また、2005年には再び復元作業が行われ、現在の姿が保たれています。二番庭の石積み付近からは古代の金属製品の工房跡として考えられる坩堝や金床石、釘などの遺物が発見されています。

文化財保護への脅威

最近では、2024年10月3日にスプレーによって落書きされた痕跡が発見され、これに関与した若者2人が文化財保護法違反で逮捕されるという事件もありました。

浦添ようどれは、沖縄の文化と歴史を物語る重要な場所であり、その保護と保存が求められています。重要な文化遺産であるこの地が、未来の世代に引き継がれることを願ってやみません。

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