尚巴志王

尚巴志王

尚巴志王（しょう はしおう、1372年 - 1439年）は、琉球王国の第一尚氏王統の第二代国王です。1429年に三山（中山、山北、山南）を統一し、琉球王国を成立させたことで知られています。彼の治世は、琉球の歴史において重要な転換期であり、後の繁栄の基礎を築いたとされています。

生涯

尚巴志王は、尚思紹王の長男として生まれました。父の尚思紹は「苗代大親（なわしろうふやー）」とも呼ばれ、有力な按司でした。1393年、尚巴志は伊覇按司一世の推挙により、南山の佐敷按司となりました。その後、伊覇按司一世の長女である眞鍋金を妃に迎えています。

1406年、尚巴志は中山王の武寧を攻撃し、察度王統を滅亡させました。そして、首都を浦添から首里（現在の那覇市）に移し、父の尚思紹を中山王に即位させました。この出来事は、尚氏による琉球統一への第一歩となりました。

1416年には、北山王の攀安知を倒し、北山を制圧しました。この時、次男の尚忠を北山監守として派遣し、北部の安定化を図りました。1421年に父の尚思紹が亡くなると、翌1422年に尚巴志は中山王に即位しました。

そして1429年、南山王の他魯毎を滅ぼし、ここに三山統一が達成され、琉球王国が誕生しました。この統一により、琉球は一つの国としてまとまり、後の繁栄の礎が築かれたのです。

在位中、尚巴志王は首里城の拡張整備に力を入れました。王城にふさわしい姿へと改修し、安国山には花木を植え、中山門を創建して外苑を整備しました。また、那覇港の整備も進め、中国（明）をはじめとする日本、朝鮮、南方諸国との交易を盛んに行いました。これにより、琉球は国際的な交易拠点として発展し、経済的な繁栄を享受しました。

「尚巴志」の読み方

「尚巴志」という名前の読み方には諸説あり、研究者の間でも定説はありません。主な説としては以下のものがあります。

東恩納寛惇は「こはち」とする説
池宮正治は「しゅあじ（小按司）」とする説
おもろさうしには「ちやうはち（チョーハチ）」とする説
上里隆史は「さばち」や「しょうあじ（小按司）」とする説
石井望は福建漢字音から「すざ（べじ）」とする説
尚巴志王の童名とされる「さはち」説


このように、様々な説がありますが、いずれも決定的な証拠には欠けており、今後の研究が待たれます。

三山統一について

尚巴志王が1429年に三山を統一したとするのが通説ですが、この点についても異論があります。和田久徳は、初期の史料には三山統一が明示されていないとして、三山統一の史実そのものに疑問を呈しています。石井望は、三山統一説の初出を1456年の『寰宇通志』であるとし、明国が実情を把握していなかった可能性を指摘しています。また、石井は、三山時代はイスラム宦官貿易時代であり、統一と見えるのは鄭和らの宦官貿易時代が終ったに過ぎないと主張しています。

これらの説は、琉球史における統一の概念を再考する上で重要な視点を提供しています。

系譜

父：尚思紹王
母：不詳。美里子の娘（伝承）
妃：眞鍋金（マチルギ、伊覇按司一世の長女）
長男：佐敷王子（叔父平田大比屋の養子、平田之子となる）
次男：尚忠（初代北山監守、後に第三代琉球国王、母は妃の眞鍋金）
三男：今帰仁王子（元具志頭王子、第二代北山監守）
四男：八重瀬按司（八重瀬城主）
五男：尚金福（第五代琉球国王）
六男：尚布里（江洲王子）
七男：尚泰久（越来王子、第六代琉球国王、母は妃の眞鍋金）
八男：前田按司
長女：佐司笠安司加那志

登場作品

テレビドラマ

琉球歴史ドラマ 尚巴志（2017年、琉球放送、演・金城大和）

関連情報

琉球国王の一覧
『尚巴志』 - コトバンク
尚巴志王が国王となったことの意味 - 沖縄県立博物館・美術館

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