浦辺徹郎

浦邊 徹郎（うらべ てつろう）

1949年1月10日生まれの浦邊徹郎氏は、日本における地球科学の分野で高く評価されている学者です。彼は東京大学の名誉教授として、また国際資源開発研修センターの顧問として、専門は鉱床学と海洋地球化学です。

経歴

岡山県倉敷市に生まれた浦邊氏は、1967年に灘高等学校を卒業後、東京大学教養学部に進学しました。そして1971年には同大学理学部の地学科を卒業しました。その後、大学院に進学し、立見辰雄教授の指導のもとで研究を行い、1976年に博士号を取得しました。彼の博士論文のテーマは「閃亜鉛鉱・方鉛鉱間の微量元素分配の熱力学的解析」というもので、鉱床の形成に関する重要な研究となっています。

博士課程を修了後、東京大学で助手としてキャリアをスタートさせ、その後もカナダのトロント大学やメキシコ合衆国工業振興省での研究活動を通じて国際的な視野を広げました。1986年には工業技術院旧地質調査所の主任研究官に転任し、さらに1998年には首席研究官としての地位を確立しました。2002年には東京大学大学院理学系研究科の教授に就任し、さまざまな役職を歴任しました。

2011年には、急逝した玉木賢策氏の後任として国連海洋法大陸棚限界委員会の委員に選出され、再選を果たし5年間の任期を務めました。在任中は多くの大学で非常勤講師や客員教授を務め、内閣府や文部科学省の委員会でも日本の科学技術の進展に寄与しています。

研究業績

浦邊氏の研究活動は、院生時代から始まりました。特に黒鉱型鉱床の成因に関する研究や、花崗岩質マグマにおける元素の挙動についての理論的・実験的な探求により多くの知見を得ています。旧地質調査所においても、伊豆－小笠原島弧の海底での熱水活動に関する研究を行い、深海潜水艇を用いた現場観察や試料採取によって海底熱水鉱化作用の解明に貢献しました。また、国際的なプロジェクトにおいても、フランスや米国との協力の下、深海底探査プロジェクトの管理を行い、高い評価を受けています。

さらに、2000年代に入ると、海洋地球科学と生物学の融合に取り組むために、新学術領域研究「海底下の大河」の設立に関与しました。これは、地球規模での海洋地殻中の物質循環や生物地球化学作用を探求するもので、多くの学会や研究機関から評価を受けています。また、戦略的イノベーション創造プログラムにもプログラムディレクターとして参加し、次世代海洋資源調査技術の開発を推進しました。

編著書

彼はまた、学術書の編纂にも多く関与しており、その中でも「Proceedings of the 29th International Geological Congress 1992; Mineral Resources Symposia」での貢献が特に顕著です。

浦邊徹郎氏の業績は、国内外で高い評価を得ており、多くの研究者や学生にとって模範となる存在です。彼の地球科学への貢献は、今後も広がっていくことでしょう。

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