浪打駅

浪打駅 - 青森市に消えた駅の記憶

浪打駅は、かつて青森県青森市造道字浪打に位置していた、日本国有鉄道（国鉄）東北本線の駅でした。しかし、複線電化に伴う東北本線のルート変更により、1968年（昭和43年）7月21日にその短い歴史に幕を閉じました。

開業と発展

1891年（明治24年）に東北本線が開通し、青森駅の設置場所として浪打駅周辺が候補に挙がるも、実現には至りませんでした。1924年（大正13年）1月15日、浪打駅は旅客駅として開業し、地域住民の足として親しまれました。1940年（昭和15年）には貨物の取り扱いも開始し、一般駅としての役割も担うようになります。

幻の支線 - 堤川線

太平洋戦争末期の1944年（昭和19年）には、北海道からの石炭輸送のため、浪打駅から堤川駅を結ぶ貨物支線（通称：堤川線）が開通しました。しかし、終戦後の1946年（昭和21年）には早くも廃止となり、その短い使命を終えました。

廃止とその後

1968年（昭和43年）7月21日、東北本線のルート変更に伴い、浪打駅は隣の浦町駅と共に廃止されました。跡地は国道4号（青森東バイパス）の一部となり、商店などの用地として利用されています。駅の面影は薄れましたが、周辺の商店の駐車場が広いことなどに、わずかにその名残を見ることができます。

駅周辺の変遷

浪打駅は、合浦公園へのアクセス駅としての役割も担っていました。駅周辺には、青森第五連隊の練兵場跡地に開発された住宅地「練兵町」や、青森中学校（現在の青森高校）などがありました。また、合浦公園内には青森競輪場がありましたが、後に移転しています。これらの施設も時代の流れとともに姿を変え、浪打駅の記憶と共に、人々の思い出の中に刻まれています。

バス路線の変遷

浪打駅前には、青森市営バス、国鉄バス（現在のJRバス東北）、弘南バスなど、多くのバスが乗り入れていました。駅の廃止後、バス停の名称は変わりましたが、現在も地域住民の足として、バス路線は利用されています。

現在

浪打駅の跡地は、国道4号青森東バイパスの一部となり、往時の面影はほとんど残っていません。しかし、浪打交番の向かいが、かつての駅舎のおおよその位置であり、付近の商店の駐車場が広いことに、わずかにその名残を見ることができます。

浪打駅は、短い歴史の中で、地域住民の生活を支え、様々な物語を紡いできました。その記憶は、今も人々の心の中に生き続けています。

参考資料

石野哲（編）『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』JTB、1998年
ふるさと歴史館シリーズ10「東北本線の移転と街の発展」 - YouTube - ATV青森テレビ 公式チャンネル

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