浮草物語

浮草物語

『浮草物語』（うきぐさものがたり）は、1934年11月22日に松竹キネマによって公開された日本[[映画]]である。小津安二郎が監督を務め、モノクロでスタンダードサイズの作品で、上映時間は89分。映画は「喜八もの」として、主人公・喜八を演じる坂本武の物語の第2作目にあたる。この作品は、アメリカ映画『煩悩』をベースにしており、当時の日本[[映画]]界に新たな風を吹き込んだ。最初はサウンド版として制作されたが、現在残っているのはサイレント版のみである。1959年には小津自身によって『浮草』としてリメイクされた。

あらすじ

旅役者の一座の座長である喜八は、かつての恋人・おつねが住んでいる田舎町へ興行に向かう。喜八には、以前の恋で生まれた息子・信吉がいるが、彼はそのことを隠している。現在の妻である一座の女優・おたかは、嫉妬心から若い女性おときを使って信吉に近づけるが、おときは信吉を本当に愛してしまう。この一連の騒動の中で、喜八はおたかとおときを激しく叱責する。

その後、長雨が続き、劇団は財政難に苦しむことになる。喜八はついに一座の解散を決断する。そんな中、喜八はおつねの家で信吉と対立し、ついにはおつねが喜八の正体を信吉に明かすことになる。最終的に、喜八はおつねに信吉とおときを頼むと告げ、駅でおたかと再会して再び旅に出ることを決意する。

スタッフ

• - 監督: 小津安二郎
• - 脚本: 池田忠雄
• - 原作: ジェームス槇
• - 撮影・編集: 茂原英朗
• - 美術: 浜田辰雄

キャスト

• - 喜八（市川左半次）: 坂本武
• - おつね: 飯田蝶子
• - 信吉: 三井秀男
• - おたか: 八雲理恵子
• - おとき: 坪内美子
• - とっさん: 谷麗光

この映画は小津作品では珍しく、地方の旅芸人一座をテーマにしている。主要人物は皆着物を身にまとい、当時の日本社会や文化を映し出している。また、喜八の性格設定には前作『出来ごころ』から若干の変化が見られ、より人間味あふれる描写がなされていることが特徴である。『浮草物語』は第11回キネマ旬報ベスト・テンで第1位に輝くなど、評価の高い作品となっている。

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