海のバカンス

トムとジェリー：海のバカンス(Salt Water Tabby) - 詳細解説

1947年7月12日に公開された『海のバカンス』(Salt Water Tabby)は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督による名作アニメーション『トムとジェリー』シリーズの一編です。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオ制作、テクニカラーによる鮮やかな色彩で描かれた本作は、夏のビーチを舞台に、トムとジェリー、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす、予測不能な騒動劇をコミカルに描き出しています。

あらすじ

穏やかな夏のビーチ。トムは、優雅に日光浴を楽しむトゥードルスに一目惚れし、近づくも、トゥードルスのバスケットから飛び出したトマトの食べかすやバナナの皮がトムの顔面に直撃。その犯人は、バスケットの中に潜んでいたジェリーでした。

このことから、トムとジェリーのいつもの追いかけっこが始まります。ビーチにはカニも登場し、自分の縄張りを荒らされたトムとジェリーを執拗に追いかけ回します。カニの挟み撃ちを辛くも逃れたトムは、トゥードルスと仲良くなり、サンドイッチや紅茶をごちそうになります。しかし、ジェリーはトムの邪魔を繰り返し、せっかくの楽しい時間は台無しに。

トムは再びジェリーを追いかけます。激しい追いかけっこの中、ジェリーは黄色い馬型のフロートをトムに発射。トムは誤ってそれを飲み込んでしまい、空気が抜ける勢いでプロペラ飛行機のように飛び回り、最後は海にドボン！

着水したトムが目にしたのは、なんと自分の水着を帆として、ジェリーがバスケットに乗って悠々と海へ旅立っていく姿だったのです。

登場キャラクター

トム: トゥードルスに好意を抱きアプローチするも、ジェリーに邪魔され、追いかけっこに巻き込まれます。最後はジェリーにいたずらされ、海の上で壮絶な空の旅を強いられ、最後は自身の水着とバスケットを奪われてしまいます。
ジェリー: バスケットの中の食べ物を漁り、トムにいたずらを仕掛けます。トムに追いかけられるも、機転を利かせた行動で何度も窮地を脱します。最後はトムを空高く飛ばし、自作の「帆船」で悠々と海へ旅立ちます。
トゥードルス: ビーチで読書を楽しむ女性。最初はトムの馴れ馴れしい態度に戸惑いますが、後にトムと打ち解け、食事を振る舞います。しかし、ジェリーの策略によって、トムが吐き出した海水を浴びてしまい、怒ってしまいます。
カニ: 本作で初登場。自分の縄張りに侵入したトムとジェリーをハサミで攻撃する、獰猛なカニです。

スタッフ

監督：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ
製作：フレッド・クインビー
共同製作：ウィリアム・ハンナ（クレジット無し）
脚本：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ（全員クレジット無し）
原画：ケネス・ミューズ、エド・バージ、マイケル・ラー、レイ・パターソン（クレジット無し）
音楽：スコット・ブラッドリー
彩色プロセス：テクニカラー
録音プロセス：ウェスタン・エレクトリック
制作：メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオ
配給：メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、ロウズ・シアター

作品全体の評価

『海のバカンス』は、トムとジェリーのコミカルな追いかけっこだけでなく、夏のビーチという開放的な舞台、そして個性豊かなキャラクターたちの絡み合いが、作品全体に軽快なリズムとユーモラスな雰囲気を与えています。予測不能な展開と、テンポの良い演出は、子供から大人まで楽しめる魅力にあふれています。特に、ジェリーのいたずらとトムのドジさが絶妙に絡み合い、笑いを誘うシーンは必見です。

また、本作では、トムとトゥードルスのロマンスも描かれており、二人の関係性の変化も見どころの一つです。さらに、カニの登場は、物語に意外性とスリリングな要素を加えています。これらの要素が複雑に絡み合うことで、単なる追いかけっこ以上の深みと面白さを生み出していると言えるでしょう。夏の陽気さと、トムとジェリーの定番の面白さを同時に味わえる、まさに夏の定番作品と言えるでしょう。

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