海の上の君は、いつも笑顔。

映画「海の上の君は、いつも笑顔。」

「海の上の君は、いつも笑顔。」は、2009年5月9日に公開された日本の映画作品です。神奈川県の湘南エリア、特に茅ヶ崎市を主な舞台とし、高校生の主人公が抱える青春の葛藤や喪失からの回復を描いた物語となっています。

ストーリー

物語の中心となるのは、神奈川県立茅ヶ崎高等学校に通う二年生の成瀬汀（なるせ みぎわ）です。彼女はバスケットボール部の次期キャプテンを務める活発な少女ですが、密かにクラスメイトの小早川陸（こばやかわ りく）に想いを寄せていました。ある日、陸から「サーフィンをするか」と尋ねられたことをきっかけに、汀はサーフィンに挑戦することを決意します。彼女は一人で波乗りの練習を始めるのですが、その際に、プロサーファーを目指していたものの若くして亡くなった兄、成瀬孝治（なるせ こうじ）の形見であった大切なサーフボードを誤って失くしてしまいます。

兄との唯一の繋がりともいえるサーフボードを失くした汀は、必死になってそれを探し求めます。自転車に乗り、広大な湘南の海岸線を一日中走り回ります。このサーフボードを探す旅を通じて、汀は様々な人々と出会い、自身の内面と向き合い、兄への想いや陸への淡い感情、そして自分自身のこれからの生き方について深く考えることになります。海岸で偶然出会った少女、小林みなみとの交流も、彼女の心の変化に影響を与えていきます。失われたサーフボードを見つけ出すことができるのか、そして汀はこの経験を通じてどのように成長していくのかが、物語の大きな軸となります。

登場人物とキャスト

成瀬 汀（なるせ みぎわ）
演：谷村美月
本作の主人公。茅ヶ崎高校に通う二年生で、バスケットボール部のキャプテン。
小早川 陸（こばやかわ りく）
演：桜田通
成瀬汀の同級生で、彼女が密かに想いを寄せる相手。
成瀬 孝治（なるせ こうじ）
演：白井義将
成瀬汀の兄。プロサーファーを目指していたが、既に故人。
小林 みなみ（こばやし みなみ）
演：甘利はるな
成瀬汀がサーフボードを探す過程で海岸にて出会う少女。
その他の出演者
星ようこ、大杉漣、津田寛治、山本ひかる、麻宮美果、川端保成、大谷俊平、大網亜矢乃、滝ありさ、中澤舞、永山たかし、幸太、山本太郎 などが出演しています。

スタッフ

エグゼクティブ・プロデューサー
中崎淳、竹内靖
プロデューサー
浅木大
監督
喜多一郎
脚本
喜多一郎、川野浩司
撮影
ふじもと光明

製作の背景と協力

本作は、神奈川県の湘南地域、特に茅ヶ崎市と藤沢市が後援しています。撮影は2008年に行われ、特に印象的なエピソードとして、2008年10月3日および4日には、主人公が通う設定である神奈川県立茅ヶ崎高等学校にてロケーション撮影が実施されました。この撮影には、同校の在校生たちがエキストラとして参加し、映画にリアリティを与えています。また、同年10月11日には、茅ヶ崎市内において、海岸清掃（ビーチクリーン）のシーンの撮影が行われ、多くの茅ヶ崎市民が協力参加しました。

映画の公開前の宣伝資料によれば、本作の収益の一部は、撮影地である茅ヶ崎市、藤沢市、そして湘南の美しい海岸環境を守る活動を行っている「かながわ海岸美化財団」へ寄付されることが計画されていました。これは、映画が地域社会との連携を重視し、その舞台となった場所への貢献を意図していたことを示しています。

この映画は、湘南の開放的な景色を背景に、一人の女子高生が経験する、淡い恋心、兄への追悼、そして自分探しという普遍的なテーマを、瑞々しい感性で描いています。多くの地元住民の協力によって製作された点も特筆され、地域に根差した作品としての側面も持っています。

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